日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラーマカムヘン」の意味・わかりやすい解説
ラーマカムヘン
らーまかむへん
Rama Khamhaeng
生没年不詳。タイ国最古の王朝スコータイ第3代の王(在位1279~99)。「ラーマカムヘン王碑文」(1292)は同王が創始した文字を用い、現存する最古のタイ語資料とされる。武勇に優れた王として知られ、ラオスからマレー半島にまたがる広大な領域に勢力を拡大した。スリランカ系の上座部仏教を受容し、自ら崇仏の範を示した。王を父とし、臣下を子に例える同王の恩情的統治理念はタイ王制の理想とされている。王の中国訪問、陶工の導入をはじめ、「プラルアン王伝説」の名で知られるさまざまな伝説が伝えられているが、その真偽は疑わしい。王の死後スコータイの勢力は衰え、やがて南方のアユタヤに併合されてしまった。
[石井米雄]