改訂新版 世界大百科事典 「リシェ」の意味・わかりやすい解説
リシェ
Charles Robert Richet
生没年:1850-1935
フランスの生理学者。血清療法を創始した。パリに生まれ,一時文学を志したが,パリ大学で医学を修め,1887年パリ大学教授となった。精神病学や病理学の研究に従事したが,C.ベルナールらの影響を受けて,生理学分野で広範な研究を行うようになり,胃液の分泌や呼吸と皮膚の関連などについての研究を行った。さらに88年には,細菌を注射された動物は,それに対する免疫ができることを認め,90年,はじめてヒトに対して免疫療法を行った。また1902年,イヌを用いた免疫毒素の実験中に過敏現象が起こることを発見し,これにアナフィラキシーと名づけた。以後,過敏症に関する研究を続けたが,これらの研究によって13年,ノーベル生理学・医学賞を授けられた。
→アナフィラキシー
執筆者:川口 啓明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報