日本大百科全書(ニッポニカ) 「リュウキュウヒメジ」の意味・わかりやすい解説
リュウキュウヒメジ
りゅうきゅうひめじ / 琉球非売知
sidespot goatfish
[学] Parupeneus pleurostigma
硬骨魚綱スズキ目ヒメジ科に属する海水魚。日本海側では山口県沿岸、太平洋側では伊豆半島東岸から高知県柏島(かしわじま)付近、屋久島(やくしま)、南西諸島、および台湾、香港(ホンコン)、ハワイ、東アフリカなど太平洋、インド洋に分布する。体は伸長し側扁(そくへん)する。体高は背びれの起部付近でもっとも高く、体長のおよそ29%。頭の外郭は比較的急に傾斜し、目の前方ですこし盛り上がる。頭長は体長のおよそ33%。吻(ふん)は短く、頭長は吻長の1.7~2.1倍。口は小さく、上顎(じょうがく)の後端は吻長のほとんど中間点に達する。上下両顎に1列の互いによく離れたじょうぶな円錐歯(えんすいし)がある。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)と口蓋骨には歯がない。下顎の前端付近にある1対(つい)の細長いひげは、前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の後縁下に達するか、わずかに越える。頭長はひげの長さの1.3~1.6倍。鰓耙(さいは)は上枝に6~8本、下枝に21~25本。鱗(うろこ)は大きく、側線鱗(りん)数は27~28枚。背びれはよく離れた2基で、第1背びれが8棘(きょく)、第2背びれが9軟条で、第1背びれの第1棘はきわめて短い。臀(しり)びれは7軟条。尾びれの後縁は深く二叉(にさ)する。体色は瞬時に変えることができるが、普通は背側面では黄灰色~淡赤色で、腹側面では淡桃色または白色である。両背びれの間の下方の側線の上に眼径より大きい黒斑(こくはん)があり、その直後に白色斑がある。第2背びれの基底部は黒い。第2背びれと臀びれに黄色と淡青色の線が走る。尾びれは黄色で、その下縁が赤みを帯びる。サンゴ礁や岩礁域の砂礫(されき)底や海藻域で単独または小群ですむ。日中にカニ類、多毛類、エビ類、ウニ類、ナマコ類、小魚など多様な底生動物を食べる。インドヒメジP. barberinoidesやフタスジタマガシラなどといっしょに群れをつくることがある。最大体長は約32センチメートルになる。刺網(さしあみ)、定置網、釣りなどで漁獲され、刺身、煮魚、オイル焼き、フライなどにするとおいしい。
[尼岡邦夫 2023年8月18日]