リース取引に関する会計のこと。リース取引とは、産業機械、情報通信機器、航空機等の比較的高額な経済財について、その貸出しを専門の業とする企業が調達して、この使用を希望するほかの企業もしくは個人が借り出す方式のビジネスで、その賃貸料金であるリース料の設定においてレンタルと異なる方式のビジネスである。リース会計は、このような取引に関する会計の全般を意味するが、日本では2007年(平成19)3月30日に、企業会計基準委員会(ASBJ)が企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」および同適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」を公表したことから、この会計基準を適用する会計を中心として展開されることとなった。
リース取引は、基本的には借り手(レッシー)に対して使用収益の権利を与えるが所有権は貸し手(レッサー)にあるという特性から、借り手はリース料を費用(損金)計上できる有利さをもって成長してきたものである。伝統的に、リース取引はファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分類され、ファイナンス・リース取引はさらに所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引に分類されている。
ファイナンス・リース取引は、実質的にリース物件に対する融資の性格をもつもので、リース契約期間中の中途解約ができないリース取引またはこれに準ずるリース取引である。2007年の会計基準改正においては、ファイナンス・リース取引に許容されてきた賃貸借処理を廃止し、原則として売買処理に統一するという基準制定を行った。このことにより、リース取引に関するビジネスは、その取引慣行において新たな展開を迫られることとなった。
すなわち、日本の新リース会計基準では、所有権移転の形態であるか否かにかかわらずファイナンス・リース取引については、原則として売買処理によって会計処理することとなった。したがって、借り手はリース契約の成立後、受入れ物品をリース資産として計上するとともに総リース料をリース負債たるリース未払金として両建て計上することとなる。ただし、所有権移転外ファイナンス・リース取引で少額および短期の取引については、簡便的に賃貸借取引を行うことができることとなっている。
オペレーティング・リース取引とは、ファイナンス・リース取引以外のものをいい、この取引については、従来通り賃貸借取引が可能となっている。
以上の会計基準は、2008年4月1日以後開始する事業年度から適用することとなった。ただし、新基準適用前のリース取引については、従来の賃貸借処理を継続できる例外規定が設けられている。
[東海幹夫]
『服部勝著『詳説 リース会計基準』改訂版(2008・税務研究会出版局)』▽『太田達也編著『「リース取引の会計と税務」完全解説』(2008・税務研究会出版局)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…企業の環境保全努力の情報化に着目して環境会計とよぶが,社会責任遂行状況の会計情報化から社会責任会計ともいう。(4)リース会計 リース産業の発達により,企業が固定設備資産を購入することなく,リース契約に従ってこれを利用することが広く行われていることに呼応して,リースに関する会計が問題になっている。リース契約の形態が実践上きわめて多様であるために,統一的な会計処理基準の設定が困難な状況にある。…
※「リース会計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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