日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルゴール液」の意味・わかりやすい解説
ルゴール液
るごーるえき
ヨウ素・ヨウ化カリウム液をいい、ヨウ素にヨウ化カリウムを加えて水に溶けるようにした高濃度のヨウ素溶液である。フランスの医師ルゴールJean Georg Antoine Lugol(1786―1851)が初めて用いたところから名づけられた。ルゴール液には次のようなものがある。
[幸保文治]
複方ヨード・グリセリン
ルゴール液の改良処方で、ザイフェルト液ともよばれる。処方および製法は、ヨウ素12グラム、ヨウ化カリウム24グラムを精製水約25ミリリットルに溶かし、これにグリセリン900ミリリットルを加えたのち、ハッカ水45ミリリットル、液状フェノール5ミリリットルおよび精製水を加えて全量を1000ミリリットルとし、よく混和する。赤褐色の粘稠(ねんちゅう)性の液で、耳鼻咽喉(いんこう)科では、殺菌消毒の目的で咽頭炎や扁桃(へんとう)炎などに塗布剤としてよく用いられている。アルコールを含まないので痛くないが、乾きが遅い。
[幸保文治]
歯科用ヨード・グリセリン
歯科で用いるルゴール液で、ヨウ素10グラム、ヨウ化カリウム8グラム、硫酸亜鉛1グラム、グリセリン35ミリリットルに精製水を加えて全量100ミリリットルとしたものである。象牙(ぞうげ)質および根管の消毒、または歯肉炎などに用いられる。
[幸保文治]