六訂版 家庭医学大全科 「咽頭炎」の解説
咽頭炎
いんとうえん
Pharyngitis
(のどの病気)
どんな病気か
咽頭は鼻腔や口腔の奥にある部分で、ここには咽頭
さまざまな咽頭炎がありますが、大きく
原因は何か
急性咽頭炎は、アデノウイルス、コクサッキーウイルスなどのウイルス感染や、A群
慢性咽頭炎は、急性咽頭炎が治りきらなかったり、たばこの煙、お酒などが慢性的に咽頭を刺激したりすることによって起こります。
咽頭特殊感染症は、クラミジア、
症状の現れ方
急性咽頭炎では咽頭の痛みが急激に現れ、そのほか全身
検査と診断
多くの場合、咽頭は発赤し、症状の経過からも、通常の咽頭炎は比較的簡単に診断されます。
時に、咽頭の発赤とともに小さな水ぶくれや、その破れたような病変がみられることがありますが、これはヘルパンギーナと呼ばれ、コクサッキーウイルスの感染によるものです。咽頭の発赤が著しく、全身症状を伴う場合は溶連菌感染を疑い、分泌物を取って検査します。また、白色の病変や、粘膜のただれたような所見のあることもありますが、この場合には特殊感染症やがんとの鑑別が問題になるため、組織を一部採取して調べることもあります。
治療の方法
よくうがいをして咽頭を清潔に保ち、喫煙、飲酒などもひかえ、刺激を与えないようにします。痛みや発熱に対しては解熱鎮痛剤を用います。抗生剤は、細菌感染が明らかな場合以外には用いる意義は少ないと考えられますが、溶連菌感染の場合には合併症を防止するために、十分に使用する必要があります。
咽頭特殊感染症では、それぞれの原因微生物に対する治療をします。
病気に気づいたらどうする
がまんできる程度の痛みの場合には、うがいなどをして様子をみてもよいと思います。しかし、
咽頭特殊感染症は、一般的な診察や検査では普通の咽頭炎との鑑別が難しいことも少なくありません。咽頭の症状がなかなか改善しない場合には、特殊感染症に対する検査が必要になることもあります。病原体保有者と接触した可能性がある場合には、その旨を医師に伝えておくことも大切です。
一宮 一成
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報