杏葉(読み)ぎょうよう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

杏葉
ぎょうよう

馬具の一種。上古時代の飾り馬平安時代唐鞍 (からくら) ,胸繋 (むながい。→三繋 ) ,尻繋などに下げる装飾物。日本の古墳時代のものには,鉄地金銅張り,銅製,金銅製,鉄地銀張りなどがある。心葉形,楕円形などがある。

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デジタル大辞泉の解説

ぎょう‐よう〔ギヤウエフ〕【×杏葉】

《形が杏(あんず)の葉に似ているところから》
唐鞍(からくら)面繋(おもがい)胸繋(むながい)尻繋(しりがい)につける金属製または革製の装飾。
胴丸腹巻などの肩上(わたがみ)に、染め革でくるんでつけた鉄板。
紋所の名。杏の葉を二つ左右から抱き合わせた形のものなど。ぎょよう。

ぎょ‐よう〔‐エフ〕【×杏葉】

ぎょうよう(杏葉)3

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百科事典マイペディアの解説

杏葉【ぎょうよう】

馬具の面繋(おもがい),胸繋(むながい),尻繋(しりがい)につける装飾具。皮または金属製で,名は形がアンズ(杏)またはイチョウ(銀杏)の葉に似ていることに由来する。中国の形式が朝鮮を経て日本に伝わったもので,古墳から多く出土している。
→関連項目馬具ルリスタン青銅器

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世界大百科事典 第2版の解説

ぎょうよう【杏葉】

馬具の一部を構成する装飾物で,胸繫(むながい)と尻繫にさげる。面繫にも,また鞍褥(くらしき)の裾にさげることもある。杏葉は平安時代の名称で,葉形の意匠をもつ唐代の形を名称とともに受け入れたものである。形が杏あるいは銀杏の葉に似ていることに由来するという。杏葉の起源は西方にあり,南北朝時代に中国に伝えられたので,漢代の馬装には杏葉がない。日本の5世紀前半の古い馬具に杏葉を伴わないことも,これと関連がある。

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大辞林 第三版の解説

ぎょうよう【杏葉】

〔形が杏あんずの葉に似るところから〕
唐鞍からくらの装飾具の一。金属・革などで作り、面繫おもがい・胸繫むながい・尻繫しりがいにつける。
よろいの付属具の一。染め革などで包んだり漆をかけたりした鉄板。古くは下級武士が、袖の代わりに胴丸の肩につけたが、鎌倉時代に、袖が完備するとともに、胸につけるようになった。
家紋の一。杏の葉を図案化したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

杏葉
ぎょうよう

馬具もしくは甲冑(かっちゅう)の付属具。形状が杏(あんず)の葉に似るとして命名されたものと考えられる。馬具の杏葉は、古墳時代の鞍(くら)や後の唐鞍(からくら)の鞦(しりがい)につけた装飾具である。後期古墳や宗像(むなかた)大社沖ノ島祭祀(さいし)遺跡などから金銅透(こんどうすかし)彫りの精巧なものが出土している。甲冑付属の杏葉は、中世に徒立(かちだち)で戦った下卒が着た胴丸(どうまる)(右引合せ形式で当時は腹巻と呼称された)の肩上(わたがみ)に結び付けた肩先の防具である。軽い膨らみをもった独特の形の掌(てのひら)大の鉄板で、一般に上部を折り返し、表面に絵韋(えがわ)を張り、据文(すえもん)金物を打ち、周囲に覆輪をかけ、上部の穴に緒の設けがある。
 南北朝時代以降、胴丸が騎馬の武士に着用され、大袖(おおそで)がつくようになると、用途を変じ、胸前に垂下して高紐(たかひも)を覆う装具となり、しだいに形式化して小さくなった。杏葉の遺物は、鹿児島市鶴ヶ嶺(つるがね)神社に鎌倉時代の作と推定される鏡地(かがみじ)鶴松葉文の杏葉が伝来するほか、南北朝・室町時代の胴丸に多く付属している。また、北海道から鏡地の古風な杏葉の出土がある。江戸時代には甲冑形式の多様化と威儀化から、胴丸のほか復古調の腹巻・当世具足などにも用いられて形状を崩した。[山岸素夫]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ぎょう‐よう ギャウエフ【杏葉】

〘名〙 (形が杏(あんず)の葉に似ているところから)
① 馬具の飾り板。唐鞍(からくら)のしりがいに並べて付ける金属または革製の装飾具。古墳時代の精巧な遺品がある。〔十巻本和名抄(934頃)〕
② 腹巻や胴丸の類の肩上(わたがみ)につけ、鎌倉の末までは肩を、室町以後は高紐の部分を覆ったもの。
※本朝軍器考(1722)九「障子の板弦走の革などもなく栴檀板をば杏葉を以て代へたり」
③ 紋所の名。杏の葉を二つ向かい合わせた形のもの。抱き杏葉、丸に花杏葉、佐賀杏葉、花杏葉、柳川杏葉などの種類がある。ぎょよう。〔名語記(1275)〕

ぎょ‐よう ‥エフ【杏葉】

〘名〙 =ぎょうよう(杏葉)③〔書言字考節用集(1717)〕

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