レボドパ製剤とその配合剤(読み)レボドパセイザイトソノハイゴウザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 の解説

レボドパ製剤とその配合剤

製品名
《レボドパ製剤》
ドパストン(大原薬品工業)
ドパゾール(第一三共)
《レボドパ・カルビドパ水和物製剤》
カルコーパ(共和薬品工業)
ドパコール(ダイト、扶桑薬品工業、日医工)
ネオドパストン(第一三共)
パーキストン(小林化工)
メネシット(MSD
レプリントン(辰巳化学、ファイザー、日本ジェネリック、富士フイルムファーマ)
《レボドパ・カルビドパ水和物・エンタカポン配合剤》
スタレボ(ノバルティスファーマ)
《レボドパ・ベンセラジド塩酸塩製剤》
イーシー・ドパール(協和キリン)
ネオドパゾール(第一三共)
マドパー(太陽ファルマ)

 脳内でつくられるアドレナリンの一種のドパミン(神経のはたらきを活発にする)の量を増やす作用があります。パーキンソン病とパーキンソン症候群でおこる振戦しんせん手の震え)、無動症動作がにぶくなる)、筋硬直筋肉のこわばり)といった症状の治療に使います。


 レボドパ製剤は、パーキンソン病治療の代表的な薬で、主症状を速く、強力に改善し、ADL(日常生活動作)をもと通りにしていく効果があります。この薬が出てから、パーキンソン病の治療は大きく前進しました。ただし、副作用の程度には個人差があるので、医師の指示通りに使ってください。


 レボドパ配合剤は、レボドパ炭酸脱水酵素(レボドパの作用を弱める酵素)のはたらきを抑え、レボドパの作用を強化する成分を配合してある薬です。レボドパ製剤で効果が現れない場合に使用されます。なお、レボドパ配合剤は、成分が脳だけに作用するようにして、副作用を軽減した薬です。


①過敏症状(発疹ほっしんなどのアレルギー症状)、悪性症候群錯乱幻覚抑うつ胃潰瘍十二指腸潰瘍の悪化、溶血性貧血・血小板減少、突発的睡眠、閉塞隅角緑内障がおこることがあります。そのほか、レボドパ・カルビドパ水和物製剤では妄想や悪性黒色腫が、レボドパ・カルビドパ水和物・エンタカポン製剤では、横紋筋融解症、肝機能障害、傾眠、幻視・幻聴・幻覚がおこることがあります。このような症状がおこったときは使用を止め、すぐ医師に相談してください。


②また、不随意運動吐き気嘔吐おうと食欲不振、便秘、口の渇き、動悸、ねむけ、めまい頭痛不眠、味覚異常、物が見えにくいといった視覚異常、見当識けんとうしき障害、起立性低血圧、心悸亢進しんきこうしんなどをおこすことがあります。


 このような症状がおこったときは、必ず医師に相談してください。


①いろいろな剤型があります。初め少量を用い、1~3日ごとに徐々に使用量を増やしていって、継続して使う量(維持量)を決定します。急に服用量を減らしたり、服用を中止すると、高熱、意識障害、ひどい筋硬直、不随意運動、ショックなどがおこることがあります。服用を中止する場合は徐々に服用量を減らしていく方法がとられるはずですから、医師から服用中止の指示が出るまでは服用を続けてください。また、かってな判断で減量・増量・中止しないでください。内服剤は、必ずコップ1杯以上の水で飲んでください。


問診の際にあらかじめ、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を医師に報告するとともに、長期にわたって服用し続けなければならない薬ですから、使用前に薬の効果と副作用について医師・薬剤師からよく説明を聞き、注意事項をきちんと守ってください。


 過去にこの薬を使用して過敏症状が現れたことがある人、閉塞隅角緑内障の人、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤を使用中の人には、この薬は使用できません。そのほか、レボドパ・カルビドパ水和物・エンタカポン配合剤は、悪性症候群や横紋筋融解症の人にも使用できません。あらかじめその旨を医師に報告してください。


③胃・十二指腸潰瘍かいよう、糖尿病、重症の心臓や肺の病気、気管支喘息ぜんそく、肝・腎障害、ホルモンの病気などの内分泌疾患がある人、自殺傾向など精神症状のある人、妊婦あるいは現在妊娠している可能性のある人、母乳で授乳している人には、使用についての厳重な注意が必要となります。あらかじめその旨を医師に報告してください。


④服用を開始した時期には定期的な検査を指示されるので、必ず受けてください。


⑤ねむけ、かすみ目などがおこることがあるので、自動車運転や危険を伴う作業は避けてください。また、この薬を使用中は、禁酒を守ってください。


⑥この薬を使用中に、ほかの薬を使用する必要が生じたときは、必ず医師に相談してください。とくに、メチルドパ製剤レセルピン製剤などの降圧剤、フェノチアジン系ブチロフェノン系の抗精神病剤、ピリドキシン塩酸塩系のビタミンB6剤と併用すると、お互いの薬の効果が強まったり弱まったりします。また、アマンタジン塩酸塩製剤抗コリン剤ブロモクリプチンメシル酸塩製剤など、ほかのパーキンソン病治療剤と併用すると副作用が現れやすくなります。


 この薬またはドパミン受容体作動薬を用いたパーキンソン病患者において、病的賭博(個人的生活の崩壊などの社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進こうしんなどの衝動制御障害が報告されているので、こうした症状が現れたら医師に相談してください。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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