アマンタジン塩酸塩製剤(読み)アマンタジンエンサンエンセイザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「アマンタジン塩酸塩製剤」の解説

アマンタジン塩酸塩製剤

製品名
アマンタジン塩酸塩(全星薬品工業、全星薬品、日医工、沢井製薬、キョーリンリメディオ、杏林製薬
アテネジン(鶴原製薬、日本ジェネリック)
シンメトレル(サンファーマ、田辺三菱製薬

 脳内でつくられるドパミン(神経のはたらきを活発にするアドレナリン一種)の量を増やすとともに、ドパミンのはたらきを高める作用がある薬です。おもにパーキンソン症候群(脳内のアドレナリンの量が不足した状態)の治療に使います。レボドパ製剤と併用して効果を上げる場合もあります。また、脳梗塞後遺症に伴う意欲自発性低下の改善に用いたり、A型インフルエンザウイルス感染症にも用いることがあります。


①過敏症状(発疹ほっしんなどのアレルギー症状)、悪性症候群、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症、視力低下を伴うびまん性表在性角膜炎、角膜浮腫様症状、心不全、肝機能障害、じん機能障害、意識障害、精神症状、けいれん、ミオクロヌース、異常行動、横紋筋融解症をおこすことがあります。このような症状がおこったときは使用を止め、すぐ医師に相談してください。


不眠、不安、めまい運動失調見当識けんとうしき障害、頭痛、かすみ目、口の渇き・便秘下痢食欲不振・吐き気腹痛倦怠感けんたいかん下肢かしのむくみといった症状がおこることがあります。このような症状が現れたときは、医師に相談してください。


錠剤と細粒です。初期には1日1~2回を食後に、維持量(継続して使う量)が決まってからは1日2回、朝夕食後に服用するのが原則です。ただし、1日あるいは1回の服用量・服用時間・服用回数・服用期間については医師・薬剤師の指示を守ってください。


 また、内服剤は必ずコップ1杯以上の水で飲んでください。


問診の際にあらかじめ、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を医師に報告するとともに、長期間使用する薬なので、使用前に薬の効果と副作用について医師・薬剤師からよく説明を聞いてください。


 とくに、この薬を使用して過敏症状をおこしたことのある人、妊婦あるいは現在妊娠している可能性のある人、母乳で授乳中の人、血液透析を必要とするような重篤な腎障害の人は使用できません。あらかじめ医師に報告してください。


③うっ血性心不全などの心臓病、末梢性浮腫のある人、低血圧症、精神疾患のある人、肝障害のある人、閉塞隅角緑内障の人、高齢者には、使用にあたっての厳重な注意が必要となります。あらかじめ医師に報告してください。


 また薬の服用にかかわらずインフルエンザり患時に、異常行動などの精神・神経症状が現れた例が報告されているので、小児・未成年者については、異常行動による転落などの万一の事故を防止するため、発熱から2日間、保護者などは小児・未成年者が1人にならないよう配慮してください。


④めまい、かすみ目がおこることがあるので、自動車運転や危険を伴う作業は避けてください。また、この薬を使用中は禁酒を守ってください。


⑤現在ほかの薬を使っていたり、この薬を使用中にほかの薬を使う必要が生じたときは、必ず医師に相談してください。


 薬によっては、神経のはたらきを抑える薬(催眠鎮静剤、抗精神病剤、抗不安剤など)、精神刺激剤(中枢神経興奮剤)、プラミペキソール塩酸塩水和物製剤、制酸剤、チアジド系利尿剤メマンチン塩酸塩製剤などを併用すると副作用が現れたり、薬の作用が増強したり減弱したりすることがあります。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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