フェノチアジン系抗精神病剤(読み)フェノチアジンケイコウセイシンビョウザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 の解説

フェノチアジン系抗精神病剤

製品名
《クロルプロマジン塩酸塩製剤》
ウインタミン(塩野義製薬、共和薬品工業)
クロルプロマジン塩酸塩(鶴原製薬)
コントミン(田辺三菱製薬吉富薬品
《フルフェナジン製剤》
フルメジン(田辺三菱製薬、吉富薬品)
フルメジン(田辺三菱製薬、吉富薬品)
《プロペリシアジン製剤》
ニューレプチル(高田製薬)
《プロクロルペラジン製剤》
ノバミン(共和薬品工業)
《ペルフェナジン製剤》
トリラホン(共和薬品工業)
ピーゼットシー(田辺三菱製薬、吉富薬品)
《レボメプロマジン製剤》
ヒルナミン(共和薬品工業)
レボトミン(田辺三菱製薬、吉富薬品)
レボメプロマジン(鶴原製薬、共和薬品工業)

 抗精神病剤は、中枢神経や自律神経のはたらきを強力に抑制する作用をもち、興奮、幻覚、妄想、不安、緊張といった精神症状を鎮静させる効果があります。また、精神活動の低下した状態を活発化させる作用もあるため、統合失調症の中心的な治療剤として使用されています。


 抗精神病剤には、ほかにもいろいろな作用があり、そのため副作用も多様です。


 副作用をできるだけ避けるために、抗不安剤、催眠鎮静剤、抗うつ剤などを併用して、少量で効果を高めるようにすることが多いのです。


 統合失調症の治療のほかに、躁病そうびょうや神経症における不安緊張抑うつ吐き気嘔吐おうとクロルプロマジン製剤は、しゃっくり破傷風に伴うけいれん人工冬眠催眠鎮静鎮痛剤の効力を強めるために、ペルフェナジン製剤は、メニエール症候群にも使用されます。


①抗精神病剤は多様な副作用をおこす薬なので、服用前に、医師から副作用について十分な説明があると思います。そのとき、本人だけでなく家族の人もよく聞いておき、注意を守るよう気をつけてください。


②過敏症状(発疹ほっしんなど)、悪性症候群、突然死、無顆粒球症、白血球減少麻痺性まひせいイレウス、遅発性ジスキネジア(口周部、手足の不随意運動など)、眼障害、横紋筋融解症、エリテマトーデス様症状、肺塞栓症・深部静脈血栓症がおこることがあります。そのほか、薬によっては、心室頻拍、再生不良性貧血・溶血性貧血、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、遅発性ジストニア、肝機能障害・黄疸おうだんがおこることがあります。


 このような症状がおこったときには使用を止め、すぐ医師に相談してください。


③薬によって、パーキンソン症候群の症状(手指のふるえ、筋肉の硬直よだれなど)、アカシジア(静坐不能)、血圧の低下、不整脈、心臓病の悪化、胃腸障害(食欲の亢進こうしん減退腹痛、下痢、便秘など)、縮瞳しゅくどう、視覚障害、口の渇き、鼻づまり、倦怠感けんたいかん、むくみ、皮膚の色素沈着、排尿障害、頭痛、不安、興奮、ときに月経異常、男性の女性化乳房、射精不能、体重増加、突然死、心室頻拍、低血糖、光線過敏症(皮膚の直射日光が当たる部分に、湿疹じんましんなどが出る)などをおこすことがあります。また、貧血などの副作用出現の有無を調べるためにも、指示された検査は必ず受けてください。


錠剤顆粒かりゅうなどいろいろな剤型があります。1日の服用量・服用時間・服用回数、服用期間については医師・薬剤師の指示を守り、かってに中止したり、増量・減量をしないでください。


②抗精神病剤は、最初は適量を用い、病状をみながら使用量を増減し適切な量を決めることが多いものです。


③問診の際にあらかじめ、持病・アレルギーなどの体質、現在使用中の薬の有無を医師に報告してください。


 これまでに抗精神病剤を使用して過敏症状をおこしたことのある人、バビルツール酸誘導体・麻酔剤など中枢神経抑制製剤の強い影響下にある人、アドレナリン製剤を使用中の人(アナフィラキシー救急治療に使用した場合を除く)、昏睡こんすい状態の人、循環虚脱状態の人には使用できません。薬によっては、脳炎・脳腫瘍しゅよう・頭部外傷後遺症といった脳障害のある人などにも使用できません。


 また、妊婦、現在妊娠の可能性のある人、母乳で授乳中の人などでは、使用できないことがあります。


④肝臓病、血液障害、褐色細胞腫、動脈硬化症、心臓病、重症の喘息ぜんそく、肺気腫、呼吸器の感染症、てんかんなどの病気のある人、高温環境下にある人、脱水状態の人や栄養状態の悪い人、子ども、高齢者は、使用にあたって注意が必要です。


⑤服用中は自動車の運転、高所での作業、激しい運動、暑さを避けてください。


⑥抗精神病剤を服用中は、禁酒を守ってください。


⑦ほかの薬を使用する必要が生じたときは必ず医師に報告してください。バルビツール酸系催眠鎮静剤降圧剤アトロピン硫酸塩製剤炭酸リチウム製剤ドンペリドン製剤メトクロプラミド製剤レボドパ製剤ブロモクリプチンメシル酸塩製剤と併用すると、薬の効果が増強・減弱することがあります。また、殺虫剤との接触にも注意してください。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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