ポアソン比(読み)ポアソンヒ(英語表記)Poisson's ratio

デジタル大辞泉 「ポアソン比」の意味・読み・例文・類語

ポアソン‐ひ【ポアソン比】

弾性体を引き伸ばしたとき、あるいは押し縮めたとき、その力の方向の伸び、あるいは縮みと、垂直方向の縮み、あるいは伸びとの比。1826年にフランスの物理学者ポアソン導入ポアッソン比

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精選版 日本国語大辞典 「ポアソン比」の意味・読み・例文・類語

ポアソン‐ひ【ポアソン比】

  1. 〘 名詞 〙 物体にのび、またはちぢみを与えたとき、それと垂直方向に生ずるちぢみ、またはのびの元のひずみの大きさに対する比。体積が変化しないときは〇・五。金属では約〇・三。ゴムでは〇・五に近い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポアソン比」の意味・わかりやすい解説

ポアソン比
ぽあそんひ
Poisson's ratio

固体の物体を一つの方向に伸ばすと、これと直角の方向には縮む。この縮みのひずみと伸びのひずみの比をポアソン比という。フランスの数学者・物理学者ポアソンによって導入された。長さlの物体がΔlだけ伸びたときに、幅aΔaだけ縮んだとすると、ポアソン比σは
  σ=(Δa/a)/(Δl/l)
で与えられる。等方的弾性体ではポアソン比σは、体積弾性率K、ずり弾性率G
  K=2G(1+σ)/3(1-2σ)
の関係があり、σはゼロから0.5までの値をとる可能性がある。ゴムのようにKに比べてGが小さい物質ではσはほとんど0.5になる。しかし結晶のような弾性的異方性をもった物質ではかならずしもσはゼロから0.5の間になるとは限らない。ポアソン比を求めるには、直接に伸びと縮みを測定する場合と、他の弾性率から計算する場合とがある。

[和田八三久]

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改訂新版 世界大百科事典 「ポアソン比」の意味・わかりやすい解説

ポアソン比 (ポアソンひ)
Poisson's ratio

弾性係数の一つ。等方性の物質に,一つの方向の伸びの応力を加えると,その方向に伸びのひずみεを生ずるとともに,それに垂直な方向には逆方向(縮み)のひずみε′を生ずる。このときν=|ε′/ε|をポアソン比と呼ぶ。圧縮の応力を加えたときも同様に定義される。ポアソン比はS.D.ポアソンによって導入された無次元の弾性係数であり,0と0.5の間の値をとる。ν=0.5は,伸びと縮みの結果,体積が変わらない場合である。多くの物質では~0.3近くの値になっている。
弾性係数
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百科事典マイペディア 「ポアソン比」の意味・わかりやすい解説

ポアソン比【ポアソンひ】

一様な太さの棒の軸方向に力を加えて,軸方向に単位長さ当りαだけ伸ばし(縮め)たとき横方向に単位長さ当りβだけ縮む(伸びる)とすれば,β/αをポアソン比,その逆数をポアソン数という。ポアソン比はすべての弾性体で0.5より小さく金属ではふつう0.3前後。S.D.ポアソンによって導入された。→弾性率
→関連項目弾性波ひずみ(歪)

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栄養・生化学辞典 「ポアソン比」の解説

ポアソン比

 一定の太さの棒の両端をひっぱると,縦方向にのびると同時に横方向ではそれに直角に中心へ向かって縮む.縦方向の伸びと横方向の縮みの比.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポアソン比」の意味・わかりやすい解説

ポアソン比
ポアソンひ

弾性係数」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のポアソン比の言及

【弾性】より

… 弾性係数としては,伸びのひずみと応力の関係を与えるヤング率,ずれのひずみと応力の関係を与える剛性率(ずれの弾性係数),静水圧(すべての方向に一様な圧力)による体積変化の割合を与える体積弾性率などがある。また,ある方向に伸び(あるいは縮み)のひずみを生じさせたとき,その方向と垂直な方向に逆符号のひずみ(伸びに対しては縮み,縮みに対しては伸び)が生ずるが,この二つのひずみの割合をポアソン比と呼ぶ。 応力の大きさが弾性限度をこえると,応力が0になってもひずみが残る。…

【弾性係数】より

…このほかに,結晶を構成する原子どうしの相互作用ポテンシャルが中心力(ポテンシャルが相互の距離のみに依存する)の場合,コーシーの関係と呼ばれる関係がある。 もっともふつうに使われる弾性係数は,ヤング率,剛性率(ずれ弾性率),体積弾性率,ポアソン比である。これらは等方弾性体について次のように定義される。…

【ひずみ(歪)】より

…(dd0)/d0を,このときの横ひずみという。縦ひずみ‐横ひずみを垂直ひずみnormal strainと総称し,横ひずみε1と縦ひずみεの比はポアソン比と呼ぶ。 次に図2に示すように,高さh0の直方体を互いに平行な2面がずれるように変形(せん断変形)させたとき,そのずれの角(せん断角)をγ(単位はrad)とすると,このγをせん断ひずみshear strainという(ひずみは単位寸法あたりの変形量であるから,本来,せん断ひずみは図においてλ/h0=tanγで定義されるが,変形が微小であればtanγ=γとおくことができ,角度の変化として与えられる)。…

※「ポアソン比」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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