固体の物体を一つの方向に伸ばすと、これと直角の方向には縮む。この縮みのひずみと伸びのひずみの比をポアソン比という。フランスの数学者・物理学者ポアソンによって導入された。長さlの物体がΔlだけ伸びたときに、幅aがΔaだけ縮んだとすると、ポアソン比σは
σ=(Δa/a)/(Δl/l)
で与えられる。等方的弾性体ではポアソン比σは、体積弾性率K、ずり弾性率Gと
K=2G(1+σ)/3(1-2σ)
の関係があり、σはゼロから0.5までの値をとる可能性がある。ゴムのようにKに比べてGが小さい物質ではσはほとんど0.5になる。しかし結晶のような弾性的異方性をもった物質ではかならずしもσはゼロから0.5の間になるとは限らない。ポアソン比を求めるには、直接に伸びと縮みを測定する場合と、他の弾性率から計算する場合とがある。
[和田八三久]
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… 弾性係数としては,伸びのひずみと応力の関係を与えるヤング率,ずれのひずみと応力の関係を与える剛性率(ずれの弾性係数),静水圧(すべての方向に一様な圧力)による体積変化の割合を与える体積弾性率などがある。また,ある方向に伸び(あるいは縮み)のひずみを生じさせたとき,その方向と垂直な方向に逆符号のひずみ(伸びに対しては縮み,縮みに対しては伸び)が生ずるが,この二つのひずみの割合をポアソン比と呼ぶ。 応力の大きさが弾性限度をこえると,応力が0になってもひずみが残る。…
…このほかに,結晶を構成する原子どうしの相互作用ポテンシャルが中心力(ポテンシャルが相互の距離のみに依存する)の場合,コーシーの関係と呼ばれる関係がある。 もっともふつうに使われる弾性係数は,ヤング率,剛性率(ずれ弾性率),体積弾性率,ポアソン比である。これらは等方弾性体について次のように定義される。…
…(d-d0)/d0を,このときの横ひずみという。縦ひずみ‐横ひずみを垂直ひずみnormal strainと総称し,横ひずみε1と縦ひずみεの比はポアソン比と呼ぶ。 次に図2に示すように,高さh0の直方体を互いに平行な2面がずれるように変形(せん断変形)させたとき,そのずれの角(せん断角)をγ(単位はrad)とすると,このγをせん断ひずみshear strainという(ひずみは単位寸法あたりの変形量であるから,本来,せん断ひずみは図においてλ/h0=tanγで定義されるが,変形が微小であればtanγ=γとおくことができ,角度の変化として与えられる)。…
※「ポアソン比」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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