翻訳|minister
一国から他の国へ派遣される外交使節団の長を意味する場合と,大使を長とする外交使節団において大使に次ぐ地位の者を意味する場合とがある。前者が本来の意味であるが,今日では前者の意味での公使はほとんど存在せず,公使の名称はおもに後者の意味に用いられる。19世紀のヨーロッパでは,外交使節団の長としては公使を交換するのが常であった。公使より一段低い外交使節を代理公使といい,公使より格の高い使節として大使が認められていたが,大使の交換は君主国等特定の国家間にのみ行われていた。以上三つの階級は,1815年のウィーン会議の際に正式に認められた。また,18年のエクス・ラ・シャペル会議において,公使と代理公使の間の階級として弁理公使が認められたが,これはその後使われなくなった。公使を代理公使等と区別するために特命全権公使と呼ぶことがある。大使および公使は一国の元首から他国の元首に対して派遣されるが,代理公使は外相から外相に対して派遣される。その後,外交使節を格上げする傾向が生じ,公使ではなく大使を外交使節団の長として交換する国が圧倒的に多くなった。日本が派遣している外交使節団の長も,現在は全部大使である。今日では公使は大使を長とする外交使節団の次席として派遣されるのが普通となった。この公使は大使の指揮下にあり,他の使節団員とともに,外交使節としての大使の務めを補佐する。大使館における席次は大使,公使,参事官,書記官の順になる。
→大使
執筆者:野村 一成
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外交使節の一種で、正式には特命全権公使である。ほかに弁理公使、代理公使が認められるが、弁理公使は最近用いられない。公使は大使に次ぐ第二の階級の地位にあるが、両者の違いは席次や儀礼に関してのみであり、実質的な地位、職務、特権についてはなんら異ならない。第三の階級の代理公使は、派遣の手続において大使や公使と異なる。大使、公使の場合は、信任状は派遣国の元首から接受国の元首にあてられるが、代理公使の場合には、派遣国の外務大臣から接受国の外務大臣にあてられる。ただし、任務や特権の点で差異はない。また、代理公使も使節団の長であって、公使の代理(臨時代理公使)ということではない。
[広部和也]
…階級の区別は,常置使節の制度の一般化につれて行われるようになった。現在,常置使節には,大使のほかに特命全権公使と代理公使がある。公使は大使に次ぐ地位(特命全権公使のほうが代理公使より上位)であるが,大使との差異は,席次と儀礼についてのみ存在し,職務と特権については存在しない。…
※「公使」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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