ローヤルゼリー

精選版 日本国語大辞典 「ローヤルゼリー」の意味・読み・例文・類語

ローヤル‐ゼリー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] royal jelly )[ 異表記 ] ロイヤルゼリー 働き蜂が女王蜂の幼虫に与える唾液腺分泌物強壮剤として用いられる。〔薬の効用(1964)〕

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食の医学館 「ローヤルゼリー」の解説

ローヤルゼリー

〈生命力溢れる女王バチの食べもの〉
 ローヤルゼリーは女王バチの食べものとして、その驚異的な生命力と繁殖力を支えていることから、「不老長寿の薬」「若返りの妙薬」として名高く、古くはアリストテレスも記しているほどです。
○栄養成分としての働き
 ローヤルゼリーにはおもな活性成分と考えられるローヤルゼリー酸(10―HPA)を中心に糖質、脂質、必須アミノ酸を含むたんぱく質、ビタミンA、B1、B2、B6、E、葉酸(ようさん)パントテン酸などのビタミン類、そして銅、リン、亜鉛(あえん)、鉄などのミネラルがバランスよく含まれています。しかし、これ以外にも専門家の間で「R物質」と呼ばれる、科学的にまだ解明されていない未知の物質も含まれていると考えられています。
〈間脳に作用し、自律神経の老化を防止〉
 ローヤルゼリーにはアミノ酸の一種であるタウリンアセチルコリン、ビタミンB1などの神経刺激伝達物質が含まれています。これらが自律神経の中枢である間脳(かんのう)に作用し、自律神経の老化を防ぐと考えられています。これにより自律神経失調症や更年期障害にめざましい効果があるのです。
 自律神経は血管壁の直径を調整するので低血圧が改善されますし、血管が非常に多い精嚢腺(せいのうせん)ペニスにも作用をおよぼし、勃起(ぼっき)障害にも有効です。交感神経の刺激によりグリコーゲン分解が促進されるので、慢性肝炎にも効果がみられます。また間脳の視床下部(ししょうかぶ)には性中枢、食欲中枢体温中枢があるので、食欲増進や精力回復が望めます。
〈注目される制がん作用や認知症防止作用〉
 ローヤルゼリーに制がん作用があると発表され、一躍注目を浴びました。免疫機能をつかさどる白血球は、骨髄(こつずい)とリンパ組織で産生されますが、ローヤルゼリーは骨髄が血球を製造するのを助ける働きがあるためと考えられています。このためローヤルゼリーは、造血作用を破壊する放射能の毒性にも有効とされます。赤血球も骨髄で産生されるうえ、ローヤルゼリーには鉄分が含まれているので、貧血予防にも期待できます。
 アルツハイマー型認知症はアセチルコリンの減少によって起こります。ローヤルゼリーはアセチルコリンを大量に含んでいるので、防止が期待されます。
 またローヤルゼリーにはインスリン作用物質が含まれるほか、高血圧を引き起こすアンジオテンシンIIの生成を抑制する働きがあることも判明しており、糖尿病高血圧症の改善・予防に役立ちます。
○注意すべきこと
 ローヤルゼリーはアセチルコリンを含むため、パーキンソン病などで抗コリン剤を服用している人は、過剰摂取になるおそれがあるので摂取を避けてください。

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改訂新版 世界大百科事典 「ローヤルゼリー」の意味・わかりやすい解説

ローヤルゼリー
royal jelly

王乳ともいう。ミツバチの孵化(ふか)後3日齢から13日齢ころまでの若い働きバチの下咽頭腺と上顎(じようがく)腺から分泌される乳白色で酸味を呈するホルモン様物質をいい,はちみつとはその成因・成分がまったく異なる。同じ有精卵から孵化した幼虫が,働きバチ乳とみつと花粉を与えられると働きバチに分化し,王乳のみを与えられると女王バチに分化する。女王バチは体重が働きバチに比べて2倍大きく,寿命が40倍も長い。しかも女王バチは生涯王乳のみを餌とし,成熟すると年間をとおして自己の体重(0.2g)と同じくらいの重さの卵を毎日1500~2000個産みつづける。王乳のなかにはこの驚異的産卵能力を支える栄養源や,女王バチへの分化を促す引金の役割を演ずる物質が含まれていることがわかり,おおいに学問的興味をそそった。古くから不老長生の霊薬といわれるゆえんの一つでもあろう。花みつと花粉を原料として若い働きバチの体内で合成され分泌されるものであるが,約65%の水分を除くと主成分はタンパク質であり,乾燥重量の約50%を占める。そのほか炭水化物約20%,脂質約14%,遊離アミノ酸類も豊富で,必須アミノ酸のほとんどが含まれ,有機酸では10-ヒドロキシデセン酸が王乳固有の成分として注目されている。無機質やビタミン類も多く含まれ,機能的・総合的栄養剤として評価されている。固有で未知の成分はR物質と呼ばれている。王乳の医療的効果については,イタリア,フランスおよび東ヨーロッパ諸国で多くの研究報告がある。成長・発育,骨組織の再生,造血,血管組織,皮膚組織,泌乳,アレルギー疾患,抗菌性,抗腫瘍性などに関する臨床試験がその内容であるが,より基本的には,自律神経系の調節作用,細胞の賦活作用や抗体の産生能など,生体の防御機構に,直接的にあるいは間接的に関与しているのではないか,という点で強い関心がもたれている。現在その作用機構についての研究が進められている。
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百科事典マイペディア 「ローヤルゼリー」の意味・わかりやすい解説

ローヤルゼリー

王乳とも。ミツバチの働きバチの唾液(だえき)腺から分泌される酸味のある乳白色液体。女王バチとなるべき幼虫の餌で,王台に0.2〜0.3gたくわえられる。成分はタンパク質,脂肪,炭水化物,各種ビタミン,ミネラル,アミノ酸など。強壮・強精の薬として用いるほか,化粧品,セッケンなどにも配合される。
→関連項目蜂蜜ミツバチ養蜂

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローヤルゼリー」の意味・わかりやすい解説

ローヤルゼリー
ろーやるぜりー

ロイヤルゼリー

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世界大百科事典(旧版)内のローヤルゼリーの言及

【ミツバチ(蜜蜂)】より

…産卵能力は抜群に高く,春から夏にかけての繁殖期には,1日当り1500個もの卵を産むといわれている。女王バチは,働きバチや雄バチとは違って,王台(おうだい)と呼ばれる特別の巣房で,王乳(ローヤルゼリー)で育てられる。4月から6月にかけて,新しい女王が羽化するころになると,古い女王バチは,その巣のほぼ半分の働きバチをつれて,分封といわれる巣分れをする。…

※「ローヤルゼリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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