タルボット(読み)たるぼっと(英語表記)William Henry Fox Talbot

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タルボット」の意味・わかりやすい解説

タルボット
たるぼっと
William Henry Fox Talbot
(1800―1877)

イギリス写真技術開拓者。竜騎兵士官を父とし、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに学び、光学化学の研究に関心をもった。1835年、塩化銀を塗った紙に写真を撮る方法に成功し、紙の陰画から多数陽画を焼き付ける写真術の基本原理を確立した。さらに1840年、没食子(ぼっしょくし)硝酸銀潜像を現像する方法を完成し、この方法を「カロタイプ」とよんだ。

 このカロタイプを普及させるために世界最初の写真焼付け所を設立、他方『自然の画筆』(1844~1846)という世界最初の写真版入りの書物を出版した。日本では「トールボット」ともよばれる。

山崎俊雄

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タルボット」の意味・わかりやすい解説

タルボット
Talbot, William Henry Fox

[生]1800.2.11. ラコックアビー
[没]1877.9.17. ラコックアビー
イギリスの科学者。ハロー校,ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに学ぶ。 1833年国会議員となったが,翌年引退。写真に深い関心を示し,38年カロタイプ (のちに彼の名をとってタルボタイプ ) と呼ばれる映像定着法を発明し,41年特許を取った。彼の方法を用いると,いわゆるネガからポジを何枚でもつくることができ,写真の発展に大きく貢献した。また考古学にも関心を示し,ニネベ出土の楔形文字の初期の解読者の一人にも数えられている。彼の『自然の鉛筆』 Pencil of Nature (1844~46) は,挿絵に初めて写真を採用した書物である。

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