日本大百科全書(ニッポニカ) 「アウエルバハ」の意味・わかりやすい解説
アウエルバハ(Erich Auerbach)
あうえるばは
Erich Auerbach
(1892―1957)
ドイツのロマンス語系文化の研究家。『世俗界の詩人ダンテ』(1929)で学界に認められ、『ミメーシス』(1946)では、古代から現代に至る西欧文学にみえる現実描写の様式と性格を分析し、西欧文化の多様な現実解釈の実態と歴史を詳述し、この分野の第一人者となる。ナチス時代に追われ、イスタンブールの大学で教授、のちにアメリカの諸大学で教授を務め、エール大学在職中に没した。
[深田 甫]
『篠田一士・川村二郎訳『ミメーシス』(1967・筑摩書房)』
アウエルバハ(Leopol'd Leonidovich Averbah)
あうえるばは
Леопольд Леонидович Авербах/Leopol'd Leonidovich Averbah
(1903―1939)
ロシア(ソ連)の文芸活動家、批評家。サラトフの商家出身。中学中退でコムソモール(ソ連のレーニン共産主義青年同盟)活動。文芸誌『若き親衛隊』編集長(1922~1924)を経て、1926年ラップ(ロシア・プロレタリア作家連合)書記長、機関誌『文学哨所(しょうしょ)』編集長となり、1932年のラップ解散までプロレタリア文学派の指導者として、政治的、イデオロギー的立場から同伴者作家に厳しい批判を加え、その理論は日本の文学運動にも一時影響を与えた。トロツキストとして粛清。
[江川 卓]