アカイア同盟(読み)アカイアどうめい

改訂新版 世界大百科事典 「アカイア同盟」の意味・わかりやすい解説

アカイア同盟 (アカイアどうめい)

ペロポネソス半島北部アカイア地方を中心とした都市同盟。初期の同盟は設立年代が不明であるが,12の諸都市から成り,前4世紀を通じて存続。その後解体され,前280年に四つの都市が集まって再結成された。前251年シキュオンが加わることによってアラトスという卓越した指導者を得,その勢力は著しく拡大した。その後マケドニア王国従属,さらにアイトリア同盟との同盟市戦争(前219-前218)で弱体化した。一時再びペロポネソス全体の覇権を掌握することもあったが,前150年スパルタとの抗争ローマと敵対関係に入り,前146年ムンミウスLucius Mummius Achaecusに敗れて同盟は縮小され,存在意義を失った。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカイア同盟」の意味・わかりやすい解説

アカイア同盟
あかいあどうめい

古代ギリシアのペロポネソス半島北部アカイアAkhaïa地方に興った同盟。アカイアの12のポリス都市国家)の古い連合体を受け継ぐものとして、前280年に成立した。同盟の長は初め2人、前255年以後は1人の将軍で、ほかにデミウルゴイdēmiūrgoiとよばれる10人の役人団、および、同盟総会、同盟評議会という二つの会議などがあり、加盟ポリスの市民は、各自が所属するポリスの市民権と同盟の市民権を二重に所有した。アカイア以外の地域のポリスの加盟をも認めて発展し、前191年以降はほとんどペロポネソス半島全域を覆う勢力となった。しかし、前146年ローマに敗れて解体させられ、以後は祭儀団体としてのみ存続した。

[清永昭次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「アカイア同盟」の意味・わかりやすい解説

アカイア同盟【アカイアどうめい】

前280年,ペロポネソス半島北部のアカイアAchaia諸都市によって結成され,アイトリア同盟とともにギリシア本土の二大同盟の一つ。諸勢力と覇権を争ったがローマの圧迫を受けて前146年解体された。連邦形式をとり,各市から人口に応じて代議員を選出した。
→関連項目アカイア人メッセニア

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「アカイア同盟」の解説

アカイア同盟(アカイアどうめい)
Achaia

前280年に生まれ,アカイアからペロポネソス半島(特に北部)に拡大した諸ポリスの同盟。最も有名な指導者はアラトス。諸勢力とヘラスの覇権を争い,前146年ローマに屈して解散した。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「アカイア同盟」の解説

アカイア同盟
アカイアどうめい
Achaia

前280年,マケドニアアンティゴノス朝から独立した,ペロポネソス半島アカイア地方のポリスが結成した同盟
前3世紀後半に大いに発展し,スパルタと争ったが,ローマの圧力がしだいに加わり,前146年解散させられた。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアカイア同盟の言及

【アラトス】より

…前264年,父が殺害されアルゴスに逃れる。前251年に帰国して僭主支配を倒し,アルゴスをアカイア同盟に加盟させた。この後プトレマイオス3世の援助を受けて,指導者となり同盟を拡大させた。…

【クレオメネス[3世]】より

…在位,前235‐219年。アギス4世の未亡人アギアティスと結婚して,リュクルゴス体制の復活による国力復興の理想を継承し,アカイア同盟と戦って(前228)国内第1の実力者となる。前227‐前226年の冬リュクルゴス体制を復興するために負債の帳消しを断行し,全国の土地を4000の分割地に分け,ペリオイコイの一部を市民に編入することによって,約700に減少していたスパルタ市民数を4000とした。…

【コリントス】より

…ヘレニズム時代には商工業も繁栄を取り戻し,市は〈ヘラスの星〉と呼ばれたが,重要な戦略要塞都市でもあったので,しばしば支配者が交替した。前247年アラトスの急襲を受けてアカイア同盟に加入。前223年再びマケドニアの支配下に入ったが,ローマとマケドニアの戦争で勝者ローマから自由都市を宣せられ(前196),アカイア同盟に復帰。…

【スパルタ】より

…前338年マケドニアを盟主にコリントス(ヘラス)同盟が結成されたが,スパルタはこれに加盟せずに抵抗を続けた。
[ヘレニズム・ローマ期]
 ヘレニズム期のスパルタは,アカイア同盟にもアイトリア同盟にも属さず,孤立していた。前240年代からは社会改革が行われ,貴重な史料を残している。…

【フィロポイメン】より

…古代ギリシア,メガロポリスの将軍,政治家。スパルタ王クレオメネス3世を破るにあたり武勲をたて(前222),その後アカイア同盟の将軍としてスパルタのマカニダスとナビスを破った。一時影響力を失ったが,前193年ころ以降はアカイア同盟の指導者として活躍。…

※「アカイア同盟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android