アルコールデヒドロゲナーゼ(英語表記)alcohol dehydrogenase

デジタル大辞泉 の解説

アルコール‐デヒドロゲナーゼ(alcohol dehydrogenase)

アルコールを酸化させてアルデヒドにする反応触媒する酵素可逆反応であり、アルコール発酵においてはアルデヒドを還元してアルコールを生成する。人間体内では肝臓に含まれ、アルコールの分解に寄与する。アルコール脱水酵素。

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改訂新版 世界大百科事典 の解説

アルコールデヒドロゲナーゼ
alcohol dehydrogenase

アルコール発酵の最終段階に関与する酵素で,次の可逆反応を触媒する。

 CH3CHO+NADH+H⁺⇄C2H5OH+NAD⁺

 (NAD;ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド)

アルコール発酵を特に強力におこなうのは酵母であり,酵母からはこの酵素が結晶として得られている。分子量約15万で4個のサブユニットからなり,亜鉛を結合している。動物の肝臓にも多く存在し,人がアルコールを飲んだ時に肝臓でこの酵素の作用により(上の反応の逆反応で)アセトアルデヒドが生成し,この物質悪酔いの原因といわれる。日本人と西洋人を比較した場合,日本人のほうがこの酵素活性が高く,早く酒に酔いやすい原因とも考えられている。肝臓のアルコールデヒドロゲナーゼの分子量は約7万3000。この酵素の基質特異性は広く,エタノール以外のアルコールにも作用する。また上記の生物種以外にも広く生物界に分布している酵素である。
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化学辞典 第2版 の解説

アルコールデヒドロゲナーゼ
アルコールデヒドロゲナーゼ
alcohol dehydrogenase

EC 1.1.1.1.アルコール脱水素酵素ともいう.次の反応を触媒する酵素.

 R-CH2OH+NAD R-CHO+還元型NAD

 R-CHOH-R′+NAD R-CO-R′+還元型NAD

アルコール発酵においては,アセトアルデヒドを還元してエタノールを生成する重要な酵素である.エタノールのほか,1-プロパノール,1-ブタノール,1-ペンタノールメタノールグリコールの順に基質に対する活性を示す.酵母,高等植物,肝臓に含まれる.酵母からの結晶標品は分子中にニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD),ZnおよびSH基を含み,分子量は1.5×105,最適 pH 約8である.上記のほか,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)を補酵素とする別種のアルコールデヒドロゲナーゼの存在も細菌において知られている.[CAS 9031-72-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 の解説

アルコールデヒドロゲナーゼ

 アルコール脱水素酵素ともいう.[EC1.1.1.1](NAD),[EC1.1.1.2](NAD(P))がある.また,[EC1.1.1.71](NAD(P))(alcohol dehydrogenase (NAD(P)), retinal reductase) も知られている.亜鉛を含む酵素で,動物の肝臓に存在する.アルコールを酸化して,アルデヒドにする酵素.反応は可逆.[EC1.1.1.71]はレチナールを還元するレチナールレダクターゼで,これもアルコールデヒドロゲナーゼの一つ.

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