アルダー(読み)あるだー(英語表記)Kurt Alder

デジタル大辞泉 「アルダー」の意味・読み・例文・類語

アルダー(Kurt Alder)

[1902~1958]ドイツの化学者。ディールス‐アルダー反応として知られるジエン合成法を開発。1950年に師ディールスとともにノーベル化学賞受賞

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「アルダー」の意味・読み・例文・類語

アルダー

  1. ( Kurt Alder クルト━ ) ドイツの化学者。師ディールスとともに、ディールス‐アルダーの反応と呼ばれるジェン合成法を開拓。一九五〇年ノーベル化学賞を受賞。(一九〇二‐五八

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルダー」の意味・わかりやすい解説

アルダー
あるだー
Kurt Alder
(1902―1958)

ドイツの有機化学者。7月10日ケーニヒスヒュッテ(現、ポーランドホジューフ)に生まれる。ベルリン大学およびキール大学で化学を学び、キール大学教授(1934)、イー・ゲー・ファルベン社化学研究部長(1936)、ケルン大学教授兼化学研究所長(1940)を務めた。おもな業績はディールス‐アルダー反応として知られるジエン合成の方法を開拓したことで、環式化合物の合成、共役二重結合の確認や各種の重合を可能にし、染料、医薬品、殺虫剤、乾性油、潤滑油などの製造に応用された。この研究によりディールスとともにノーベル化学賞を受賞した(1950)。1958年6月20日ケルンで没した。

[岩田敦子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「アルダー」の意味・わかりやすい解説

アルダー
Kurt Alder
生没年:1902-58

ドイツの有機化学者。ジエン合成(ディールス=アルダー反応)の発見により,1950年ノーベル化学賞を受けた。ケーニヒシュッテ(現,ホジュフ)に生まれ,ベルリン大学,キール大学で化学を学ぶ。1930年キール大学講師,一時イーゲー・ファルベン社に関係するが,40年からケルン大学教授。1928年,師のキール大学教授O.P.H.ディールスとともに,共役二重結合をもつジエン類に,カルボニル基で活性化された二重結合化合物が付加するジエン合成を発見する。産業化学者時代の共重合研究を除いて,終生この反応の諸条件,生成物の構造等について研究を続け,これがきわめて広い一般性をもつことを明らかにした。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「アルダー」の解説

アルダー
アルダー
Alder, Kurt

ドイツの有機化学者.ベルリン大学とキール大学で化学を学び,1926年に後者でO.P.H. Diels(ディールス)のもと学位を取得.キール大学に残り1930年講師,1934年助教授となる.1936年からI.G.Farben社の研究所に一時勤務したのち,1940年にケルン大学教授となり生涯務めた.キール大学でDielsの助手であった1928年に,共役二重結合不飽和化合物が付加して六員環化合物を生成するディールス-アルダー反応を発見し,後半生はこの反応の研究と拡張,工業化にささげられた.立体化学の研究にもアルダー-シュタイン則の発見など重要なものがある.これらの業績により,1950年Dielsとともにノーベル化学賞を受賞した.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルダー」の意味・わかりやすい解説

アルダー
Alder, Kurt

[生]1902.7.10. ケーニヒスヒュッテ
[没]1958.6.20. ケルン
ドイツの有機化学者。ベルリン大学とキール大学で化学を修め,1926年キール大学で学位取得。キール大学教授 (1934~36) 。イー・ゲー・ファルベン工業の研究部長 (36~40) 。ケルン大学の化学教授兼化学研究所部長 (40) 。 28年に師 O.ディールスとともに,ジエンとキノンの反応を発見。ジエンが,活性化された二重または三重結合をもつ種々な化合物と容易に反応すること (ジエン合成) を発見。これは現在ディールス=アルダー反応と呼ばれている。この反応により反応の性質を最初に実験的に解明し,多くの環状化合物の合成に応用できることを示した。さらに,この反応を使って合成樹脂を開発した。これらの業績により,50年ディールスとともにノーベル化学賞を受賞した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「アルダー」の意味・わかりやすい解説

アルダー

ドイツの有機化学者。ケーニヒスヒュッテの生れ。キール大学教授を経て1940年ケルン大学教授。師O.ディールスのもとで有機化合物の立体化学,合成法を研究し,ディールス=アルダー法(ジエン合成)を発見。1950年ディールスとともにノーベル化学賞。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のアルダーの言及

【化学】より

…F.A.V.グリニャールは,1901年グリニャール反応を開発して有機金属化合物の利用による温和な条件下での炭素‐炭素結合の生成の道を開いた。ディールスOtto Paul Hermann Diels(1876‐1954)とK.アルダーの発見したディールス=アルダー反応(ジエン合成,1928)は,環式化合物を鎖式化合物から一挙に合成する強力な手段となった。P.サバティエによって開拓された金属触媒による水素付加反応(接触還元)は,実験室でも工業規模でも広く採用された。…

※「アルダー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android