アントシアニン

デジタル大辞泉 「アントシアニン」の意味・読み・例文・類語

アントシアニン(〈ドイツ〉Anthozyanin/〈英〉anthocyanin)

植物色素アントシアンうちアントシアニジンに糖が結合した配糖体

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「アントシアニン」の解説

アントシアニン
アントシアニン
anthocyanin

高等植物の花や果実に赤,紫,青などの色を与える色素で,配糖体として含まれる.塩酸を含む水,メタノール,エタノールや酢酸によく溶け,赤色を呈する.エーテルベンゼンクロロホルム,石油エーテルなどに不溶,アミルアルコールブタノールプロパノールなどにきわめて難溶.水に難溶なピクリン酸塩をつくるものが多く,この性質は色素の精製に利用される.現在,花や果実から単離されている配糖体は50~60種類に及ぶが,加水分解して得られるアグリコンはアントシアニジンの3種類の型のどれかに属している.糖はグルコース,ガラクトース,ラムノース,キシロースアラビノースあるいはこれらの2,3種類の組合せが見られ,3-グリコシドか3,5-ジグリコシドを形成している.花や果実の発色のもとになるアグリコンの種類がごく少ないにもかかわらず,それらの色調が千変万化なのは,アントシアニンが不安定なフラビリウム構造をもつため,細胞液のpHや共存するアントキサンチン類などによって微妙な構造変化を引き起こすこと,またツユクサヤグルマギク青色花で示されたように,アントシアニンが Mg2+ や Fe3+ と安定な青色錯体を形成することなどによる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アントシアニン」の意味・わかりやすい解説

アントシアニン
anthocyanin

アントシアンという青色の花の色素群 (普通酸性溶液中で紅色,アルカリ性溶液中で青色) のうち,配糖体となっている物質総称。色素本体はアントシアニジン,それが糖と結合した配糖体がアントシアニンで,両者の総称がアントシアンである。アントシアニジンはフラボノイドに属する数種の環式化合物で,水酸基を多くもち,糖部分は各種の単糖または二糖類で,水酸基の特定の位置のものに結合している。糖とともに p-クマール酸か p-オキシ桂皮酸のような芳香族有機酸がついているものもある。

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百科事典マイペディア 「アントシアニン」の意味・わかりやすい解説

アントシアニン

植物色素であるアントシアンが色素配糖体(色素本体に糖がついたもの)の形態をとったものをいう。糖の結合のしかたの違いにより,色素本体よりずっと多くの種類を生じる。代表的なものにヤグルマギクなどの紅色花に含まれるペラルゴニン,青色花のシアニン,エゾギクの花や紅葉したカエデ類のクリサンテミン,ヒエンソウの花のデルフィニンなど。

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「アントシアニン」の解説

アントシアニン【anthocyanin】

ポリフェノールの一種。ブルーベリーやぶどう、赤じそ、なす、さつまいもの皮などに含まれる青紫色の色素成分。強力な抗酸化作用があり、目の機能を向上させ、血圧上昇を抑制する働きをもつほか、活性酸素の抑制、肝機能改善、毛細血管保護、血小板凝固の抑制、動脈硬化などの生活習慣病予防などの効果があるとされる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

栄養・生化学辞典 「アントシアニン」の解説

アントシアニン

 アントシアン色素ともいう.アントシアンのうち,色素配糖体.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアントシアニンの言及

【アントシアン】より

…マーカートL.C.Marquartがヤグルマギクの花の青い色素をギリシア語の花anthosと青いkyanosを表す言葉からアントシアンと名付けたのに始まる(1835)。この一群の色素はほとんどすべて配糖体として存在し,色素の本体であるアグリコン部分はアントシアニジンanthocyanidin,その配糖体をアントシアニンanthocyanin,また両者をとくに区別しないときにアントシアンと呼んでいる。その構造の決定はドイツの化学者ウィルシュテッターR.Willstätterの研究に負うところが大きくヤグルマギクからシアニンcyanin,さらにペラルゴンpelargon,デルフィニンdel‐phininが分離された。…

※「アントシアニン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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