ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンリ2世」の意味・わかりやすい解説
アンリ2世
アンリにせい
Henri II
[没]1559.7.10. パリ
フランス王 (在位 1547~59) 。フランソア1世の次男。頑健な大男で身体の鍛練を好んだ。内政ではモンモランシー公,次いで 20歳年上の愛人ディアーヌ・ド・ポアティエを重用し,またギーズ (公家)諸侯の影響を受けた。 1533年カトリーヌ・ド・メディシスと結婚。彼の治世はユグノー戦争の直前で,プロテスタントに対しては断固たる態度をとり,弾圧を強化して内戦の因をつくったが,外政では多くの成功を収めた。イングランドと戦い,金銭手段でブーローニュ返還を実現 (50) ,また神聖ローマ皇帝カルル5世に対しては父王フランソア1世以来の戦いを継続,ドイツのプロテスタント派諸侯と結んでメッツ,ツール,ベルダンを占領 (52) ,カルル5世のメッツ反攻を破り (53) ,カルルとボーセルの和約を結んだ (56.2.) 。カルルの退位 (56) 後は,イングランドと結んだその長子スペイン王フェリペ2世と戦いを続け,サンカンタンに敗れた (57) が,ギーズ公をイタリアから呼戻してカレー,グラブリーヌを占領 (58) ,フェリペ2世とカトー=カンブレジの和約を結んだ (59.4.) 。これによりフランスはカレーを確保し,サンカンタンその他の都市も取戻したが,一方サボイア,ピエモンテ地方からは撤収し,15世紀末 (シャルル8世) 以来のイタリア侵入に終止符を打った。その治世中,フランス・ルネサンスはますます発展したが,彼自身はモンゴメリ伯と馬上試合中,目に槍を受けて不慮の死をとげた。
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