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イオン結晶 イオンけっしょうionic crystal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

イオン結晶
イオンけっしょう
ionic crystal

陽イオンと陰イオンが静電気引力 (クーロン引力) でイオン結合し凝集している結晶。固体状態では電気絶縁性であるが,高温ではイオンが運動して導電性を示す。イオン結晶の水溶液は多くの場合電解質となる。純粋なイオン結晶は可視光線に対して透明であるが,不純物原子や格子欠陥を含む結晶は光の吸収帯をもつため固有の色をもつ。多くの金属のはイオン結晶をつくる。たとえば,ハロゲン化アルカリの典型例として,Na+ イオンと Cl- イオンでできた食塩 NaCl の正六面体の結晶がある。テルル化カドミウム,セレン化亜鉛のような II-VI族化合物もイオン結晶であるが,結合のイオン性はハロゲン化アルカリより少なく,IV族のシリコン,ゲルマニウムの結晶と同じ共有結合性をあわせもつ。イオン結晶は単純な結晶構造をもち,劈開しやすい。

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デジタル大辞泉の解説

イオン‐けっしょう〔‐ケツシヤウ〕【イオン結晶】

陽イオン陰イオンとが、イオン結合によって、立体的に規則正しく並列した結晶。食塩の結晶など。

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百科事典マイペディアの解説

イオン結晶【イオンけっしょう】

イオン結合によってできる結晶をいう。たとえば塩化ナトリウムNaClの結晶のようなもので,各イオンのまわりは異種イオンに取り囲まれている。多くは電気の絶縁体で,分子結晶と比べて融点が高い。
→関連項目イオン結合

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世界大百科事典 第2版の解説

イオンけっしょう【イオン結晶 ionic crystal】

正に帯電した陽イオンと負に帯電した陰イオンとがイオン結合によって構成する結晶で,電気的には中性である。典型的なイオン結晶としては岩塩NaClがよく知られているが,これの電子分布を調べてみると,自由な状態ではナトリウム原子Naに属していた電子の1個が塩素原子Clの近傍に移行し,結晶内ではそれぞれ希ガス型の電子配置をもつNaとClとのイオンになっていることがわかる。多くの金属の塩がイオン結晶を作り,岩塩のほか,1価の陽イオンと陰イオンとが同数で格子を作るヨウ化セシウムCsI,2価陽イオンと1価陰イオンとよりなるフッ化カルシウムCaF2,2価イオンどうしで構成する酸化マグネシウムMgO,あるいは単原子イオンでないイオンからなる硫酸アンモニウム(NH4)2SO4などがある。

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大辞林 第三版の解説

イオンけっしょう【イオン結晶】

陽イオンと陰イオンとがイオン結合によって規則的に配列してできた物質。食塩の結晶などが例。一般に金属の塩類に多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

イオン結晶
いおんけっしょう
ionic crystal

陽イオンと陰イオンとが静電引力によって凝集し、立体的に規則正しく配列してつくる結晶のこと。塩化ナトリウムNaCl、フッ化カルシウムCaF2のような単原子イオン結晶、硫酸アンモニウム(NH4)2SO4のような多原子イオンの結晶、ヘキサシアニド鉄()酸カリウム(フェリシアン化カリウム、赤血塩)K3[Fe(CN)6]のような錯イオンの結晶などが知られている。これらにおける原子(イオン)の配列や原子間距離は、X線回折法、中性子線回折法、核磁気共鳴吸収分光法などによって測定される。[岩本振武]

イオン半径

典型的なイオン結晶では、陽イオンと陰イオンの組合せを変えても、それぞれのイオンはほぼ一定の大きさであると考えられる。そこでイオンを剛体球とし、イオンの大きさをその半径で示した値が結晶イオン半径である。別に気体イオンを考えて、その半径を量子力学的に計算した値も得られるが、その値は結晶イオン半径とはかならずしも一致しない。イオン結晶で作用する静電引力は方向性がなく、あるイオンはなるべく数多くの反対符号イオンを周りに引き付け、しかもなるべく近く引き付けようとする。陰陽両イオンが接近すると核外電子間の反発力が大きくなり、引力と反発力が平衡に達したところでイオン結晶の構造が安定化する。このとき、両イオン間の最短距離が両イオンのイオン半径の和となる。イオン半径は、結晶構造や配位数(最短距離にある反対符号イオンの個数)によってやや異なるので、電子配置が同じになるイオンの組合せ(Na+とF-、K+とCl-など)で求めた最短距離をそれぞれのイオンの有効核電荷に逆配分比例で分割して求める。たとえばアルゴン(Ar)型電子配置をとるK+とCl-では、最短距離は314ピコメートル、有効核電荷はK+=7.4、Cl-=5.4となるので、

一般に同じ電子配置のイオンでは、多価の陰イオンほど大きい。そして多価の陽イオンほど小さいイオン半径が得られている。
 周期表で同族となる同価イオンでは、原子番号が大きくなるほどイオン半径も大きくなる。[岩本振武]
半径比則
イオン結晶では、互いに半径の異なる陰陽両イオンが、なるべくすきまを少なくするように詰め込まれた構造をとろうとする。したがって、陽イオン半径r+と陰イオン半径r-の大小関係とイオン価はその構造に大きな影響を及ぼす。イオン半径の比r+r-と配位数との関係を示す規則を半径比則という。一般にr+r-より小さくなることが多いので、半径比の小さい状態から考えていくと、半径比が0.155未満では、陽イオンの周りには2個の陰イオンしか接近できない。0.155に達すると配位数は3となる。0.225に達すると、陰イオンは陽イオンを正四面体的に取り囲み、配位数は4となる。0.414に達すると、陽イオンは陰イオンによって正方形型に取り囲まれるとともに、上下からさらに2個の陰イオンが加わり、結局、正八面体構造となって配位数は6となる。0.732になると立方体8配位となり、1になると最密充填(じゅうてん)構造になる。立方体8配位のままであれば、半径比1の構造は体心立方構造と同じようなものとなる。[岩本振武]

イオン結晶の構造

典型的イオン結晶は半径比則に従った配位構造をとる。半径比0.525となる塩化ナトリウムでは、塩化物イオンのつくる面心立方格子中の八面体型6配位の空隙(くうげき)にナトリウムイオンが入るが、そのナトリウムイオンも別に面心立方格子をつくっている。半径比が0.934となる塩化セシウムCsClでは立方体型8配位構造をとって、セシウムイオンは8個の塩化物イオンに囲まれる。この場合もセシウムイオンは別に立方体格子をつくっている。フッ化カルシウムでは半径比は0.728と計算されるが、実際にはCa2+は8個のF-によって立方体型8配位で囲まれる。Ca2+は面心立方格子をつくっており、見かけ上、その面心立方格子の四面体型4配位の空隙にF-が入っているような構造となる。それらのF-は単純立方格子をつくっている。典型的イオン結晶においても、いくらかは共有結合性がみられ、共有結合性の寄与が大きくなったイオン結晶では二次元的層状構造や一次元的鎖状構造をとることが多い。[岩本振武]

イオン結晶の性質

イオン結晶は一般に絶縁体であるが、不純物や格子欠陥のために半導体となったり、高温度でイオン導電体になることがある。融解して液体になれば導電性を示す。イオン間距離が短く、イオン価の大きい結晶は一般に硬く、融点も高い。イオン結晶の融体は融解塩または溶融塩とよばれ、アルミニウムの電解精錬に用いられる氷晶石Na3[AlF6]の例のように、導電性溶媒や高温溶媒として利用される。不純物や格子欠陥のあるイオン結晶には、特徴のある色彩や、蛍光性あるいはリン光性を示すものがある。ルビーやサファイアは、本来無色の酸化アルミニウムの結晶(コランダム)に含まれる微量の不純物イオンによって赤あるいは青色を呈している。[岩本振武]
『N・N・グリーンウッド著、佐藤経郎・田巻繁共訳『イオン結晶』(1974・培風館)』

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世界大百科事典内のイオン結晶の言及

【固体】より

…イオン結合物質の典型的な例としては,食塩の主成分である塩化ナトリウムNaClをあげることができる。一般にイオン結合物質では,ナトリウムNaのように電子を放出して陽イオンとなりやすい原子と,塩素Clのように電子を受け入れて陰イオンになりやすい原子で構成され,陽イオンのまわりには陰イオンが,また陰イオンのまわりには陽イオンが配置して,両イオンの静電引力の結合で結晶(イオン結晶)がつくられる。他方,ダイヤモンド,ケイ素(シリコン),ゲルマニウムのIV族元素の固体では,同じ種類の原子が結合して物質がつくられる。…

※「イオン結晶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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