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アフリカ南西部の砂漠地帯にだけ生育するウェルウィッチア科の1属1種の乾生植物。ベルベッチアともいう。ダイコン状の根を砂中深く水のある所まで伸ばし,茎は砂上にわずかしか現れない。茎の頂部は扁平な円盤状で,中央の浅い溝で二分されている。葉は帯状で生涯1対しか生じず,生きている限り伸びつづけるが,先端は枯死するので,長さ2mを超すことは少ない。平行脈に沿って縦に裂けるので,リボン状になることもある。円い茎頂の縁辺から小枝を出し,花序をつける。雌雄異株。花序は球花状で,雄花は苞葉に腋生(えきせい)し,十字対生する2対の花被の中に6本のおしべが生じ,雌花は1個の胚珠を内側の花被が包み,外珠皮のように見える。花粉には前葉体細胞がつくられない。マオウ,グネツムとともに裸子植物群中の1群グネツム綱をなし,二次木部に道管があり,花被のある花をもち,それに胚珠が包まれるという一種の被子性を示すので,原生被子植物と呼ばれることもある。珍奇な植物として有名で,奇想天外と呼ばれた。時に観賞用に栽培されるが,原産地では厳重な保護の対象となっている。
執筆者:西田 誠
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ウェルウィッチア科(分子系統に基づく分類:ウェルウィッチア科)の裸子植物。奇妙な形態をした珍奇な植物で1属、1種。一名サバクオモト、園芸名キソウテンガイ(奇想天外)。主幹は数十センチメートルあり、太くて短く、倒円錐(えんすい)形をなし砂の上に出る。根は直根で地中深く入る。本葉は2枚で対生し、濃緑色で長さ2~3メートル、幅20センチメートルくらいとなり、帯状で、革質をなし平行脈をもち、古くなると風などで葉脈に沿って縦にいくつにも裂ける。雌雄異株。幹頂の周辺部の葉の基部近くから小枝を出し、花をつける。雄花序は橙黄(とうこう)色で四角張った紡錘形で十字対生する鱗片葉(りんぺんよう)に覆われる。雄花には2対の包葉と6本の雄しべがある。雌花序は赤褐色で太くて長さ10センチメートル、幅3~4センチメートル。雌花は1個の胚珠(はいしゅ)だけからなる。風のほか昆虫も花粉を媒介するという。球果はモミ属に似ている。ナミビアの海岸近いナミブ砂漠などの谷あいだけに自生する。寿命の長い植物で600年から1000年も生き、世界的に珍しい植物で、特別保護を受けており、その採集は厳しく禁止されている。
[林 弥栄 2018年3月19日]
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…葉は対生し,ほぼ楕円形で先がとがり,網状脈を有し,一見双子葉植物の常緑広葉樹の葉のようである。近縁のマオウ,ウェルウィッチアとともにグネツム綱(マオウ綱)として分類される。この類は花に花被があり,雌花ではこの花被が完全に胚珠を包み,子房に似た構造を呈し,材には道管があり,裸子植物としては特異な形態を示すので,原始被子植物Protoangiospermaeまたは衣子植物Chlamydospermaeとして裸子植物から分離・独立させ,被子植物との中間型植物として扱われることもある。…
※「ウェルウィッチア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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