ドイツ民主共和国(旧東ドイツ)の政治家。ライプツィヒ生まれ。1912年社会民主党に入り、1919年ドイツ共産党に参加。1921年地方組織の専従員、1923年中央へよばれて組織局と軍事委員会に所属した。1924~1927年たびたびモスクワへ行きコミンテルン組織局で訓練を受ける。1928年帝国議会議員。1933年に亡命、1938年までパリにおいて共産党の国外指導部書記。1938年モスクワへ移り、第二次世界大戦中はドイツ人捕虜への教育宣伝、ソ連軍占領地の軍政に携わり、1943年自由ドイツ国民委員会の創設に参加。1945年ベルリンへ帰還して市政を組織し、共産党再建を指導した。
1946年、東ドイツ地域の社会民主党との合同になるドイツ社会主義統一党(SED。後、ドイツ連邦共和国の民主社会党となる)の最高指導部に入り、1950~1953年書記長、1953~1971年第一書記、1949~1960年旧東ドイツ副首相、1960~1971年国家評議会議長(元首)。1971年5月健康上の理由で要職を辞任した。ウルブリヒト体制は国内の政治統制と親ソ政策を基本に、若いテクノクラートを養成し、経済水準の向上に成果を収めた。1970年ソ連と西ドイツの急速な接近は東ドイツの頭越しに行われたらしく、彼の引退を決定づけたといわれる。
[中川原徳仁]
1893~1973
東ドイツの政治家。家具職人の出。1912年社会民主党入党。19年共産党創立に参加。28~33年国会議員。ナチスの政権掌握とともに亡命。38年以降モスクワにあり,45年ドイツの降伏とともに帰国,東ドイツの政治的組織化にあたる。再建共産党と社会主義統一党において,ソ連との結びつきを背景に権力を握り,50年以後総書記(53年第一書記)として東ドイツの「ソヴィエト化」を指導,国家評議会議長(在任1960~73)となって党と国家の頂点に立った。「ベルリンの壁」構築後は「新経済政策」で東ドイツの経済力の向上,またこの国の国際的地位の向上にも貢献したが,その独裁的指導は党内に亀裂を生み,71年第一書記退任。国家評議会議長の地位には留まったが,事実上失脚した状態で死去。
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ドイツ労働運動指導者。木工職人の出身で1919年ドイツ共産党に入党,28年国会議員となるが,33年フランス,のちにソ連に亡命。45年帰国,50年ドイツ社会主義統一党書記長(-1971)となり,以後一貫して党を指導。60年ピークの死後ドイツ民主共和国(東ドイツ)国家評議会議長(事実上の元首)となる。大衆には人気がなかったが,強い意志で同共和国の強化につとめる一方,ドイツ再統一の夢をも追い続けた。
執筆者:下村 由一
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… ナチス政権成立後,33年2月国会放火事件が起きると,ナチスはこれを共産党の責に帰して弾圧を開始,テールマンをはじめ,有力活動家を逮捕,投獄し,3月には党そのものも非合法化した。党指導部はパリ,次いでモスクワに逃れ,35年ピーク,ウルブリヒトらの指導の下に人民戦線戦術に転換したが,ドイツでは残存した党員グループが独自に反ナチス活動を遂行,大きな犠牲を払った。ソ連に逃れた者も少なからぬ数がスターリンの粛清の対象とされたが,自由ドイツ国民委員会などとともに反ファシズム活動に従事した。…
…これに対し東ドイツ政府とSEDは,東ドイツの承認,国家連合による再統一という方式をゆずろうとしなかった。もっとも,60年の東ドイツ初代大統領ピークの死後,国家評議会議長として元首の地位につき,党と政府の実権を一身に集めたウルブリヒトは,基本的にはソ連のヨーロッパ政策の枠組みを守ってはいたが,なおドイツ再統一の将来における実現を完全には放棄してはいなかったといわれる。 63年東ドイツ政府とSEDはソ連に対する賠償支払いの完了,ソ連におけるフルシチョフによる非スターリン化の推進などの新たな国内的・国際的条件のもとで,いわゆる物質的刺激をてことする新経済政策の実施に踏み切った。…
※「ウルブリヒト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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