粘り気のある無色無臭の甘みのある液体で水に溶けやすい。ポリエステル繊維の原料や界面活性剤、溶剤、車のエンジンの不凍液などに使われている。大量に飲み込むと人体に有害で、中枢神経や腎臓に障害を引き起こす恐れがあり、死に至る可能性もある。
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化学式HOCH2CH2OH。最も簡単な二価アルコール(グリコール)で,単にグリコールともいう。無色無臭の粘い甘みをもつ不揮発性の液体。融点-12.6℃,沸点197.85℃,比重0.9971(25℃)。水,アルコール,酢酸によく溶け,エーテルには溶けにくい。鉱酸やアルミナのような脱水剤触媒によってアセトアルデヒド,グリコールアセタール,ジオキサン,クロトンアルデヒドなどが生じ,酸化するとグリコールアルデヒド,グリオキサール,グリコール酸,シュウ酸になる。塩酸により160℃でエチレンクロロヒドリンが,200℃では塩化エチレンが生じる。エチレンCH2-CH2に塩素と水を反応させてエチレンクロロヒドリンClCH2CH2OHとし,これを炭酸ナトリウム水溶液で加水分解すると得られる。工業的には,エチレンと酸素を反応させてエチレンオキシドとし,高温加圧下で水と反応させてつくる。
最大の用途は合成繊維やフィルムとして用いられるポリエチレンテレフタレートの製造原料で,ほかにアルキド樹脂の原料,不凍液,ニトログリコールとしてダイナマイトの製造などに用いられる。
エチレングリコール2分子から水1分子がとれて縮合した化合物は,ジエチレングリコールHOCH2CH2OCH2CH2OH,3分子縮合した化合物は,トリエチレングリコールHO(CH2CH2O)2CH2CH2OHとよばれる。性質はエチレングリコールに似るが,沸点は高く,粘り気を増す。分子内にエーテル結合をもつので溶剤としての作用が強い。多分子重合したポリエチレングリコールは粘稠な液体またはワックス状の固体である。
執筆者:田中 潔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
C2H6O2(62.07).HOCH2CH2OH.1,2-エタンジオール(1,2-ethanediol)ともいう.グリコール類のもっとも簡単なもの.実験室的製法では,1,2-ジブロモエタンを塩基で加水分解する.工業的には,エチレンオキシドを無触媒で大過剰の水存在下での水和によって製造する.甘味をもつ無色の粘ちゅうな液体.融点-13.0 ℃,沸点197.6 ℃.1.1088.1.43178.水,エタノール,アセトンに易溶,エーテル,ベンゼンに難溶.二つのヒドロキシ基をもつので,おもにポリエステル繊維および樹脂の製造に用いられる.ほかにダイナマイト,セロハン,不凍液などの用途がある.[CAS 107-21-1]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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[用途]
1981年における日本のエチレン需要は約370万tであり,そのうちの約46%はポリエチレン製造用(高圧法ポリエチレン用が第1位で約28%を占め,さらに低・中圧法ポリエチレンが約18%)である。これに続いて塩化ビニル,アセトアルデヒド,エチレンオキシド,エチレングリコール,スチレンなどが重要な合成化学的用途である(95年のエチレン生産量は約700万t)。エチレンからの主要な誘導体は図1に示すとおりである。…
…2個の水酸基はそれぞれアルコールとしての性質をもち,隣合せの炭素に結合しているものを1,2‐グリコールといい,間にメチレン鎖-CH2-が増えていくにしたがって,1,3‐グリコール,1,4‐グリコール,1,5‐グリコールなどと呼ばれる。エチレングリコールHOCH2CH2OHのことを工業的にはグリコールと呼ぶことがある。重要なグリコールはほとんど粘度の高い無色の液体で甘味がある。…
…シュウ酸ジエステルにはいろいろな合成化学的用途がある。水素還元すれば容易に,合成繊維原料として重要な中間体であるエチレングリコールを生成する。現在はエチレンの酸化反応によって生産されているが,エチレン価格の上昇と酸化反応の収率の向上があまり望めない,などの理由により,合成ガスからの製造法が待望されている。…
※「エチレングリコール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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