エネルギー変換用色素(読み)えねるぎーへんかんようしきそ(英語表記)dyes for energy conversion

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

エネルギー変換用色素
えねるぎーへんかんようしきそ
dyes for energy conversion

光や熱などのさまざまなエネルギーを変換する機能性色素。色素とは、特定波長域の可視光を選択吸収することにより、色覚をおこさせる化学物質のことである。つまり色素は、光のエネルギーの一部を選択的に吸収しているという意味で、光→光のエネルギー変換を行う物質である。エネルギー変換用色素を、変換されるエネルギーの形態に基づいて分類すると、おおむね以下の7項目になる。
(1)光→光エネルギー変換 可視光の選択吸収(色素)、紫外光の選択吸収(紫外線吸収色素。用途:サングラス)、赤外光の選択吸収(光熱変換色素、近赤外線吸収色素。用途:光ディスク、サンシールド)、偏光の吸収(二色性色素。用途:偏光フィルム)、蛍光やリン光(蛍光性色素、リン光性色素。用途:色素レーザー、有機エレクトロルミネセンス用色素、蛍光プローブ、不可視色素)。
(2)光→熱エネルギー変換 前記(1)の赤外光の選択吸収がこれにあたる。
(3)光→力学エネルギー変換 光で変形する色素(フォトメカニカル変換色素。用途:フォトクロミック色素の応用など)。
(4)光→電気エネルギー変換 物質が光を吸収して、光伝導や光起電力を生じる現象(光電効果)に基づくエネルギー変換(光電変換材料。用途:色素増感太陽電池用色素、有機半導体太陽電池用色素、OPC=有機光導電材料organic photoconductorの略。色素増感太陽電池用色素は、実際には、光→化学→電気エネルギー変換を行う)。
(5)電気→光エネルギー変換 前記(4)の逆の現象を発現する色素(エレクトロルミネセンス。用途:有機エレクトロルミネセンス用色素)。
(6)光→化学エネルギー変換 光によって引き起こされる化学反応(光化学反応)に関連する色素。たとえば、光合成におけるクロロフィルなど(増感色素。用途:人工光合成、色素増感太陽電池)、光異性化(用途:フォトクロミック色素)、光重合や光分解(用途:感光性樹脂)、光分解(用途:血中ビリルビンの分解による黄疸(おうだん)の治療)、光化学治療(用途:光増感色素による乾癬(かんせん)や癌(がん)の治療、レーザー療法)。
(7)化学→光エネルギー変換 化学反応により発光する色素(化学発光用色素。用途:ケミカルライト、分析、蛍光プローブ)。[時田澄男]
『佐々木政子著「病気も光で治る」(日本化学会編『一億人の化学15 光が活躍する』所収・1993・大日本図書) ▽杉森彰・時田澄男著『光化学――光反応から光機能性まで』(2012・裳華房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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