ライト,ボールドウィンとならぶアメリカ黒人文学界の重鎮。オクラホマ州の出身で,はじめ音楽家を志したが,1937年ニューヨークでライトと知り合ったのが作家になる機縁となったといわれる。作品としては十数編の短編小説,すぐれた評論集《影と行為》(1964)のほかに,代表作の長編小説《見えない人間》(1952)があるだけである。だが今やアメリカの古典の一つともいうべきこの大作によって,世界の文学界でのその地位は不動のものとなっている。《見えない人間》は1人の黒人青年を主人公に,アメリカ南部・北部社会の人種差別の様態を奴隷制以来の歴史の奥行きをもたせながら展開し,さらに現代の社会政治機構のなかにおける黒人の存在の意味を問いつめたものである。新しい手法を駆使した実験小説,すぐれた歴史小説としての面をもち,ライトの自然主義をこえたリアリズム小説の傑作といわれる。
執筆者:浜本 武雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
アメリカの黒人作家。オクラホマ州オクラホマ・シティ生まれ。タスキーギー学院に進んで音楽の勉強をしたあと、ニューヨークに渡り、アメリカ黒人の抗議文学を代表する黒人作家R・ライトと知り合い、また共産党と関係をもつようになって作家生活に入った。代表作は長編小説『見えない人間』(1952)。これは、正体をもたないことがアメリカ黒人の正体であるとするユニークな認識を通じて、アメリカ黒人の自由の可能性を模索した作品といえるが、そのような認識に至る過程を、アメリカ黒人がアメリカ社会のなかで見えない存在となっていく苦しみとして描き出している。ほかに評論集『影と行為』(1964)などがある。
[齊藤忠利]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加