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見えない人間 みえないにんげんInvisible Man

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

見えない人間
みえないにんげん
Invisible Man

アメリカの黒人作家ラルフ・エリソンの小説。 1952年刊。一人称による黒人としての自己発見の物語。南部黒人大学放校になり,北部に出て共産主義的な団体に加わるものの結局利用されるだけであると悟った主人公は,たまたまマンホールの中に落ち,古いビルの地下室で生活を始め,白人の支配する社会では,黒人は見えない存在であることを知る。単なる人種差別への抗議の枠を越え,第2次世界大戦後アメリカ小説の傑作と認められる。

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デジタル大辞泉の解説

みえないにんげん【見えない人間】

《原題Invisible Manエリソン長編小説。1952年刊。米国の人種差別社会の中で、黒人が白人には見えない存在となっていく苦悩を描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

見えない人間
みえないにんげん
Invisible Man

アメリカの黒人作家ラルフ・エリソンの長編小説。1952年刊。ドストエフスキーの『地下室の手記』を下敷きに、アメリカ黒人の正体喪失過程をリアルに、ときに幻想的に描く。語り手の主人公は、最後まで名を明かさず、回想の形でアメリカ黒人としての過去を語っていく。「ぼく」は演説の才能を認められ、奨学金で進学した南部の黒人大学を放校になり、北部のペンキ工場で働くうち爆発事故にあい、社会意識に目覚め、左翼の政治団体に加入する。しかし、結局、黒人としての才能を利用されただけだと思い知らされる。ハーレムで起きた人種暴動のさなか、マンホールに落ちてしまい、そこで地下生活を続けながらアメリカ黒人の存在の意味を問う。アメリカ黒人は「見えない人間」で、正体をもたない。それがアメリカ黒人の正体であると思い至り、この認識を逆手にとって人間としての自由の可能性を模索する。[齊藤忠利]
『橋本福夫訳『見えない人間』(ハヤカワ文庫)』

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