コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

エルゴード仮説 エルゴードかせつergodic hypothesis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

エルゴード仮説
エルゴードかせつ
ergodic hypothesis

分子や原子の集りである力学系の代表点が位相空間内で描く軌道は,エネルギーが一定な面上のすべての点を必ず通過するであろうという仮説。エネルギーが一定の面は,多粒子系では多次元の面となるので,この面上を代表点がくまなく通過するときには,それぞれの微視的状態の実現確率は位相空間の体積によって与えられると考えてよい。エルゴード仮説を満たす性質をエルゴード性という。このような過程では種々の点を通過したのちに初めの状態に戻るときがいつかはくるわけであって,この回帰をポアンカレ・サイクルという。この時間は普通は無限に長い時間であると想像される。エルゴード仮説は上記の意味では成立しないが,さらに弱い条件下で成り立つことが示されている。アプリオリ確率を基礎にすれば,この仮説は必要ではなく,この立場から J.W.ギブズ統計力学を打立てた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

エルゴード‐かせつ【エルゴード仮説】

ergodic hypothesis統計力学において、時間平均を位相平均で置き換えるための仮説。十分長い時間の間に系はあらゆる状態を同じように経験するという仮説。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

法則の辞典の解説

エルゴード仮説【ergodic hypothesis】

6N次元をもつ位相空間中の一つの点は,系の一つの状態を与えることになる.閉じた系のエネルギーは一定であるから,この状態点は等エネルギー条件に従う一つの面の上を移動する.このときに面上のすべての点を移動するという仮定をおく.これが「エルゴード仮説」であり,これが成立するならば,エルゴードの定理*が証明できる.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

大辞林 第三版の解説

エルゴードかせつ【エルゴード仮説】

ボルツマンによって提唱された統計力学の基礎となる仮説。熱平衡状態にある系においては、物理量の熱力学的観測値は、すべての力学的状態についての物理量の平均値に等しいことを主張する。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

世界大百科事典内のエルゴード仮説の言及

【エルゴード理論】より

…統計力学の土台となる仮説にエルゴード仮説ergodic hypothesisがある。これは,熱平衡状態にある系においては,物理量の熱力学的観測値は,すべての力学的状態についての物理量の平均値に等しいというもので,そもそもL.ボルツマンによって提唱された仮定である。…

【統計力学】より

…ボルツマン自身もH関数を増加させる初期条件もあることを認めたが,そのような初期条件は例外的だとしたいので,H関数の減少する確率が高いという形でしか証明の道はないと考えた。気体分子運動論
[エルゴード仮説と統計集団]
 熱平衡状態の統計力学の建設はすんなりとはいかなかったが,1868年にボルツマンが,分子の速度成分を確率変数とみるマクスウェルの速度分布の導出法は分子運動がニュートン力学に従うことと矛盾するとし,気体分子間のエネルギー分配問題を考え直したところから始まる。ボルツマンは,気体内の1個の分子に着目すると,そのエネルギーは他分子との衝突により増減するが,単位時間中に区間(A,AdA)内のエネルギー値をとる状態に滞在する割合としてエネルギー分布則Φ(A)dAを定義する。…

※「エルゴード仮説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

エルゴード仮説の関連キーワードergodic hypothesisリンデンシュトラウスエーレンフェストL. ボルツマンエルゴード理論ボルツマンマルグリス非周期系ブルガン物理量コンヌ

今日のキーワード

白根山

① 栃木県と群馬県との境にある火山。山中に五色沼、北麓に丸沼・菅沼がある。海抜25...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android