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オルフェウス教(読み)オルフェウスきょう(英語表記)Orphism

翻訳|Orphism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

オルフェウス教
オルフェウスきょう
Orphism

オルフェウスを伝説上の創始者とする古代ギリシアの密儀宗教密儀に入信し,肉食の禁止などの戒律を守る信徒に,死後の世界における幸福を約束した。ゼウスの愛児ザグレウスの生れ変りとされるディオニュソスを主神とあがめ,人間の肉体は,ザグレウスを殺して食べ,ゼウスの雷によって焼殺された悪神ティタンたちの灰からつくられたが,そのなかにはティタンに食われたザグレウスの破片にほかならない不滅の神的霊魂が閉じ込められていて解放と神界への復帰を渇望していると説く。その教義によって,プラトン哲学やグノーシス派の教理などに強い影響を与え,西洋の神秘思想の重要な源泉の一つとなった。

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百科事典マイペディアの解説

オルフェウス教【オルフェウスきょう】

オルフェウスを開祖と仰ぐ古代ギリシアの密儀宗教。英語でOrphism。時間神クロノスや卵生神話を含む宇宙創成論,ディオニュソス=ザグレウスの死と復活に仮託された人間論および輪廻転生説など,特異な教義で知られる。ピュタゴラス学派とは密接な関係にあると思われ,古代末期まで存続,新プラトン主義者などからは高い評価が与えられた。
→関連項目エンペドクレスオルフィスム

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世界大百科事典 第2版の解説

オルフェウスきょう【オルフェウス教 Orphism】

古代ギリシアにおいて,宇宙と人間との生成について独特の教義をもち,とくに一般庶民の間に帰依者を見いだしていた宗教の一派。神話的人物とはいえ,オルフェウスという個人を創始者と仰ぎ,個人の魂の救済を目的とし,聖典ともいうべき文書を備えていた点において,宗教が国家的集団的で教典の類を欠いていた古代ギリシアでは特異なものであった。オルフェウスの名の下にこの派の文学として伝えられてきたものには,87編の《オルフィク賛歌》(ほとんど2世紀以後にできた一種の祈禱書),《アルゴナウティカ》(成立年代は不明であるが4世紀以後のもので,アルゴ船の物語をオルフェウス中心に語りかえた内容),《リティカ》(宝石の不思議な効力を叙事詩形で語ったもの。

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大辞林 第三版の解説

オルフェウスきょう【オルフェウス教】

紀元前七世紀頃、ディオニュソス崇拝から成立したギリシャの宗教。オルフェウスの詩に基づき、宇宙の起源や神々の系譜を説き、霊魂不滅信仰を中心に密儀を行い、禁欲的苦行を行なった。ピタゴラス教団やプラトンに大きな影響を与えた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

オルフェウス教
おるふぇうすきょう

古代ギリシアの密儀宗教。紀元前7世紀ごろから前5世紀ごろに栄え、とくに南イタリアのギリシア植民都市、シチリア島にかけて広く信仰された。プラトン、ピンダロス、アリストファネスなどもそれに言及しているが、オルフェウス教の特色は、輪廻(りんね)転生の教説にあり、肉体は牢獄(ろうごく)であり、それに対して魂(プシケ)は永遠不滅の本質であるとみなしている点であろう。そうした人間の二元性はディオニソス・ザグレウスの神話によって説明されるとしている。つまり、魂はディオニソス・ザグレウスの神的要素に由来し、肉体はティタンの悪の要素を受け継いでいるというわけである。オルフェウス教の目的は、過去の罪によって肉体に幽閉されている魂を救済することにある。そうした教義や肉食を避ける慣習、浄(きよ)めの儀式など、さまざまな点でピタゴラス派の宗教運動ときわめて似た特徴を備えているが、ともに北方系の宗教の影響が色濃いとされている。[植島啓司]

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