自動操縦装置のこと。航空機が大型化、高性能化すると、高速ならびに長距離の飛行を行うようになり、しばしば人間の能力を超える、きわめて精密な操作が必要になってくる。そこで、飛行状態の把握や対応を機械に任せ、操縦士の負担を軽くしようとする一連の航空機操縦システムが用いられており、これをオートパイロット(船舶では自動操舵(そうだ)装置)という。
オートパイロットの起源は古く、1930年代にアメリカのスペリー父子Elmer & Lawrence Sperryによって実用化されている。初期のものは、飛行中に外力によって加えられた機体の姿勢や方位の変化に対して、その変化量に応じて舵面を操作し、所定の姿勢や方位を保つものであった。現代のオートパイロットも原理的には同じである。姿勢や方位の変化をジャイロや加速度計で読み取り、その変化量を電気的シグナルに変換してコンピュータに送り、舵面の角度を計算すると同時に油圧または電力で舵面を操作するものである。最近では電子技術の進歩により、この働きはより精密になり、複雑多様化した飛行特性や交通管制に応じられるようになっている。さらに総合指示計器、航法装置、操舵装置、エンジン推力制御装置などの諸システムと組み合わせて、総合的な飛行制御システムauto flight control system(AFCS)として機能するように改良され、巡航はもとより離着陸も自動化されて、全天候運航が可能となり、操縦士の負担の軽減と安全性の向上に大きく貢献している。
将来は、空中衝突防止装置の組み込みにより、ジェット機にとって理想とされる上昇巡航方式も可能となり、経済性はより向上することが期待されている。一方、軍用機では航行のほか、進入、攻撃、避退の一連の行動に対してもオートパイロットが使用され、ことにレーダーの追跡を回避する超低空進入には不可欠の装置とされている。
[落合一夫]
(1)飛行機の方位,高度,旋回時のつり合いなどを保持する装置。操縦者の労力軽減を主目的としたもので,現在では高速・高高度飛行における安定性増大,進入着陸の自動化などの複雑な機能を加えた自動飛行制御システムへ発展している。
→自動飛行制御システム
執筆者:佐貫 亦男(2)船の進路を自動的に保持する装置。ジャイロコンパスにより求めた船の針路と目標とする針路との偏差に応じて自動的に舵をとる。波浪中でむだな操舵をしないよう天候調整が設けられている。
→自動操舵装置
執筆者:小山 健夫
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…オートパイロットともいう。船や飛行機の針路,あるいは高度を自動的に保持するよう舵取りを行う装置。決められた針路からはずれた場合,その逆方向へ舵を取ることによって針路を修正する。ヨットの場合,風向に対し一定の方向に進むようウィンドベーンと舵をリンクする装置がくふうされ古くから使われている。 船や飛行機の運航においては,出発地から目的地までどのような経路をとって進むかについての航路計画がまず行われる。次に計画航路上に適当な間隔で点を選び,それらの各点を折線状に結ぶ形で実際の運航が行われる。…
…オートパイロットともいう。船や飛行機の針路,あるいは高度を自動的に保持するよう舵取りを行う装置。…
…
[自動化の変遷]
自動化の変遷の過程を大別すれば,機能モジュール開発期,遠隔制御導入期,計算機制御期およびシステム開発期の四つとなる。 機能モジュール開発期の代表例には自動操舵装置(オートパイロット)があげられる。このオートパイロットは,自動制御を実用化した装置としての地位も高い。…
※「オートパイロット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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