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カプセル内視鏡 かぷせるないしきょう

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知恵蔵2015の解説

カプセル内視鏡

超小型カメラを内蔵したカプセル型の検査機器で、カプセルから送られてくるデータを受信するデータレコーダーと、そのデータを処理する専用のワークステーションから成る。
被検者は、検査の半日前から絶食し、腰にデータレコーダーを装着した上で、長径約20ミリメートルのカプセルを飲み込み、肛門(こうもん)から自然に排出されるのを待つ。カプセルを飲み込んでから排出までは平均で5時間ほど。その間、内蔵カメラで撮影した画像と位置情報がデータレコーダーに転送される。医師は、データレコーダーを回収して読影を行い、カプセルは廃棄される。
通常の内視鏡検査は、先端にカメラのついた管を口または肛門から入れて消化管内部を観察するが、口からも肛門からも距離が遠く、形の曲がりくねった小腸は観察が困難であった。また、管を挿入する際に息苦しさや痛みなどの身体的苦痛があるほか、肛門から挿入する場合には特に被検者の心理的抵抗感も強い。これに対しカプセル内視鏡は、被検者の身体的・精神的ストレスが軽い点が大きなメリットとされる。
日本では2007年から、通常の内視鏡を実施しても原因が分からない消化管からの出血、主に小腸からの出血が疑われる場合に、保険が適用されるようになった。ただし、実施できるのは、消化管の狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)がない場合に限られる。
なお、これまでのカプセル内視鏡は、細かいひだや蠕動(ぜんどう)のある大腸で死角ができやすいのが難点の一つとされていたが、内蔵カメラをカプセル両端に備え、撮影コマ数を増やした大腸用のカプセル内視鏡が開発され、13年に日本でも製造販売の承認が下りた。こちらは保険未適用のため被検者の全額負担となる(13年10月現在)。

(石川れい子  ライター / 2013年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

カプセル‐ないしきょう〔‐ナイシキヤウ〕【カプセル内視鏡】

直径10ミリ前後、長さ25ミリ前後のプラスチックの円筒の中に超小型カメラ・発光ダイオード・電池・無線発信装置を組み込んだもの。消化管の中をゆっくり移動し、撮影した画像を体外の受像装置に発信する。4~8時間で体外に排出される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カプセル内視鏡
かぷせるないしきょう
capsule endoscope

カプセル型の医療検査機器。「カプセル内視鏡」とは、文字通り、薬のカプセルと同じような形態の消化器内視鏡であり、口から飲んで消化管を検査する。
 従来の消化器内視鏡は、消化器の癌(がん)などの診断には優れていたが、検査時の苦痛によって敬遠する患者が多く、さらに、穿孔(せんこう)や出血などの合併症も少なくなかった。ところが2000年、国際的な学術誌『Nature』に、イスラエルのギブン・イメージング社Given Imaging Ltd.からの研究報告として、これまでの内視鏡とはまったくコンセプトの異なる内視鏡であるカプセル内視鏡が紹介された。それ以来多くの国に急速に普及し、日本でも2007年(平成19)に認可され、健康保険適用となった。2010年の時点では、日本では小腸用のカプセル内視鏡のみが認可され、臨床に用いられている。
 カプセル内視鏡の大きさは、直径11ミリメートル、長さ26ミリメートルで、薬のカプセルよりやや大きい程度で、飲むのに苦痛はない。レンズと受信・発信装置、それにバッテリーを内蔵している。検査機器としては、このカプセルと、センサーアレイ、データレコーダーそれにワークステーションから構成されている。カプセルから発信する情報をセンサーで受信し、ワークステーションで解析する。検査のために消化器内に空気を入れて拡張する必要がないため、生理的な状態(患者の身体に何も行っていない通常の自然な状態)で検査ができる。現在国際的には、小腸以外にも食道や大腸用のカプセル内視鏡が開発され臨床応用されているが、日本ではまだ小腸用以外は認可されていない。
 カプセル内視鏡による合併症はほとんどみられないが、小腸などの狭窄(きょうさく)による滞留(たいりゅう)が指摘されている。これを防ぐため、ダミーともいうべきパテンシーカプセル(内服後に溶ける検査用のカプセルで、狭窄があるかどうか事前に調査するために用いる)が開発された。これによってあらかじめ、狭窄例を除外することができる。パテンシーカプセルによる事前の検査で狭窄例が判明したら、狭窄例にはカプセル内視鏡は用いない。
 カプセル内視鏡の問題点として、検査はできるが、病理標本を採取したり、ポリープや早期癌の内視鏡的治療ができないことがあげられる。この問題に関しては、カプセルはあくまでスクリーニング(検査)としての役割をもち、治療などは通常内視鏡や新しく開発されたダブルバルーン内視鏡によって行うという役割分担が提唱されている。今後、体外からの操作性や治療などへの応用も研究され、消化器癌などの診断・治療について大きな期待が寄せられている。[寺野 彰]

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