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カラスビシャク カラスビシャクPinellia ternata

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カラスビシャク
Pinellia ternata

サトイモ科の多年草。田畑に雑草として生える。径 1cmの球茎から1,2枚の長い葉柄のついた葉が出る。葉は裏に光沢のある3小葉の複葉で卵形から披針形まで変化は多い。葉柄下部や小葉付着点などに珠芽 (むかご) をつけてふえる。6月に葉より高い花茎が出,肉穂花序を頂生する。仏炎包は緑色,ときに紫色で6~7cmあり,下方が円筒になる。花序の下部には雌花,上部には雄花が並ぶ。球茎を乾燥したものを半夏 (はんげ) と呼び鎮咳,鎮痰,吐き気止めに用いる。

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百科事典マイペディアの解説

カラスビシャク

日本全土,東アジアの畑地にはえるサトイモ科の多年草。地下に小型の球茎がある。葉は3小葉からなり,葉柄にはむかごができる。5〜8月,花茎の頂に緑色の仏炎包をつけ,中に肉穂花序がつくが下部は仏炎包と癒合(ゆごう)し,先は細長い付属体になる。
→関連項目半夏生

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世界大百科事典 第2版の解説

カラスビシャク【Pinellia ternata (Thunb.) Breit.】

畑地や果樹園の雑草になるサトイモ科の小さな夏緑多年草(イラスト)。地下に球茎を有し,用に供される。高さ15~30cmの小さな草本で,地下に直径1~2.5cmの球茎を有し,それから1~3枚の葉を出す。葉柄は10~25cm,葉身は3小葉で全縁。球茎や葉柄のやや下部,それに小葉基部に小さなむかごを生じ,栄養繁殖を行う。むかごから生じた小型の葉は卵状心形の単葉である。初夏,球茎から葉柄より長い花茎を出し,頂に緑または暗紫色をおびた仏焰苞(ぶつえんほう)につつまれた肉穂花序をつける。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カラスビシャク
からすびしゃく / 烏柄杓
[学]Pinellia ternata (Thunb.) Breit.

サトイモ科の多年草。球茎は径約1センチメートル。葉は1、2枚で長い柄があり、柄の中央付近と上端に各1個のむかごをつける。葉身は3小葉からなり、小葉は長楕円(ちょうだえん)形で長さ3~12センチメートル。5~8月ごろ球茎から長さ20~40センチメートルの花柄を伸ばし、花序を展開する。仏炎包(ぶつえんほう)は通常緑色で長さ5~7センチメートル、下部は巻き込んで筒状となる。花軸の基部5~8ミリメートルは仏炎包と隔合し、ここに雌花群をつけ、その上方で離生して雄花群をつけ、さらに6~10センチメートルの糸状の付属体となって包外に伸びる。北海道から沖縄、朝鮮、中国に分布し、畑の雑草として普通にみられる。名は仏炎包の形を例えたものである。
 オオハンゲP. tripartita (Bl.) Schottはカラスビシャクに似るが、全体に大形で、葉身は深く3裂し、葉柄にむかごをつけない。液果は淡緑色で1個の種子を入れ、水に浮く。本州中部地方から沖縄に分布し、山地の林下や沢沿いの岩の割れ目などに生える。[邑田 仁]

薬用

漢方では、地下にある茎の最下部の塊状の部分を半夏(はんげ)と称し、止嘔(しおう)、利尿、鎮咳(ちんがい)、去痰(きょたん)剤として、つわり、嘔吐、咳嗽(がいそう)、胃下垂、胃アトニー、湿性肋膜炎(ろくまくえん)の治療に用いる。とくに生姜(しょうきょう)(ショウガの根茎を乾燥したもの)を半夏とともに用いると、胃内停水、嘔吐をよく治す。
 昼のもっとも長い夏至(6月22日)と、もっとも暑い大暑(7月23日)の中間(7月3日から7日まで)を歳事では半夏生(はんげしょう)という。カラスビシャクの仏炎包の形は、ヘビの頭部に似ていて異様であり、目につくので、昔から農事の目安とされてきた。すなわち、仏炎包がよくみられる芒種(ぼうしゅ)(6月6日)から半夏生の終日(7月7日)までをイネを植える期間としたわけである。このあとに植えたイネは実りがよくないとされる。このため、カラスビシャクには守田(しゅでん)という別名もある。[長沢元夫]

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