カリフラワー

デジタル大辞泉 「カリフラワー」の意味・読み・例文・類語

カリフラワー(cauliflower)

ヨーロッパ産のキャベツから改良された野菜。太く短い茎に長楕円形の葉が放射状につき、結球しない。春、花が咲く前に、白いつぼみの球状の集まりを収穫し、食用にする。日本には明治初年に渡来し、昭和30年(1955)ころから普及。花椰菜はなやさい花キャベツ

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精選版 日本国語大辞典 「カリフラワー」の意味・読み・例文・類語

カリフラワー

〘名〙 (cauliflower) キャベツの栽培品種の一つ。ヨーロッパ原産で日本には明治初年に渡来。葉は幅狭く長大で、結球しない。茎は太く立ち、先端部に密に多数の変形した花蕾をつけ、大形の白色の花球をつくる。花球の部分を食用とする。はなやさい。はなきゃべつ。《季・冬》
※食道楽‐冬(1904)〈村井弦斎〉附録「花キャベツとはカリフローワと云ふ大きな白い花ですが」

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食の医学館 「カリフラワー」の解説

カリフラワー

《栄養と働き》


 アブラナ科の野菜で、キャベツと同じ仲間です。ブロッコリーが突然変異によって白化したもので、地中海沿岸が原産地です。
 わが国ではブロッコリーよりも早く普及したにもかかわらず、人気はブロッコリーのほうが上のようです。しかし、近年では発がん物質を抑制する成分が含まれていることがわかり、注目されている花野菜です。
○栄養成分としての働き
 アブラナ科のカリフラワーには、イソチオシアネートという物質が含まれています。これは発がん物質の活性化を阻む働きをします。
 また、ビタミンCが豊富な点がカリフラワーの特徴。ゆでたカリフラワー100gを食べると、1日の必要量の50%を満たすことができます。
 ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、メラニン色素の生成を阻害するので、美肌に効果的なのはもちろんですが、体の免疫力を高める白血球の働きを強化するので、ウイルスに対する抵抗力がつきます。さらに、胃や肝臓などの発がん物質として知られているニトロソアミンの合成を妨げます。細胞の酸化を防ぐ抗酸化物質でもあり、がん細胞の増殖を抑える働きもあります。
 これらイソチオシアネートとビタミンCの相乗効果で、がん予防の効果を期待できる野菜です。
 また、ビタミンCには抗ストレス作用があるので、精神的な疲労をやわらげる働きもあります。
 食物繊維の含有量も100g中2.9gと、キャベツの1.8g、ハクサイの1.3gを上回ります。食物繊維は整腸の働きがあり、便秘(べんぴ)の改善などに有効です。
〈ビタミンB1・B2が豊富で、老化・動脈硬化を予防〉
 ビタミンB1、B2も多く、動脈硬化の原因となったり、老化を進行させる過酸化脂質の増加を抑えます。

《調理のポイント》


 旬(しゅん)は冬から晩春にかけて。小さくてもズッシリと重く感じるものが、水分が多くおすすめです。つぼみが開花していなくて、新鮮な外葉がついているものを選びます。全体的に丸く、白いものが良質です。外葉が捨てられているものは古いものが多いので注意しましょう。小花の茎が部分的に伸びていたり、変色しているものも熟れすぎか古いものです。
 アクがあるのでゆでてから料理します。ゆでるときに小麦粉を少し入れると沸点があがり、時間が短縮できるので、ビタミンCの損失を抑えることができます。ほのかな甘みも損なわれず、アクもよく抜けます。また、レモン切れ端や酢を入れると白さがよくでます。ゆでたあとは水につけず、そのままザルに広げて冷ましたほうが水っぽくなりません。
 クセがないのでシチューポタージュサラダ、煮ものといろいろな料理に使えます。
 ニンジンキュウリなどといっしょに甘酢に漬け、ピクルスにしておけば常備菜として利用できます。
 花の部分よりも茎の部分のほうが倍近いビタミンCを含んでいるので、なるべく残さず利用しましょう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリフラワー」の意味・わかりやすい解説

カリフラワー
かりふらわー
cauliflower
[学] Brassica oleracea L. var. botrytis L.

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の多年草。栽培上は一年草ないし越年草として扱われる。キャベツの1変種で、花蕾(からい)が発育しなくなり、花柄が肥大してしかも白化したもの。カリフラワーの名はcole flower(キャベツの花)に由来する。また、ハナヤサイともいう。ヨーロッパ西岸地域原産で、紀元前6世紀ころから花茎の肥厚するものが知られていた。ローマ時代にはカリフラワーの祖先ともいうべきものが栽培され、珍重され、これから現在のカリフラワーが生じたものと考えられる。ヨーロッパでは18世紀ころから重要な野菜の一つとなり、とくにデンマークで品種改良が進んだ。日本へは明治初年に渡来し、三田(みた)育種場の『舶来穀菜要覧』には、花椰菜(はなやさい)、はなはぼたん、英名カウリフラワー7品種が載っているが、採種が困難なことなどから普及しなかった。第二次世界大戦後、食生活の欧米化に伴って消費が増大し、1955年(昭和30)ころから急速に普及した。春播(ま)きは11、12月ころ、秋播きは翌年6月ころに収穫する。収穫前には葉を縛って花球を包み、純白な花蕾を収穫する。

[星川清親 2020年11月13日]

食品

肥厚した乳白色の花球curdをゆでて西洋料理に広く用いる。くせのない野菜で、汁の実など和食にもあう。栽培時の温度条件などにより、花蕾が正常に発育してしまって、花球に粒状のつぼみや葉片が現れたものは避け、新鮮な締まった花球を選ぶ。調理には、まず、食塩、小麦粉、酢またはレモン汁を入れた湯で丸ごとゆでる。それから小房に切り分けて用いる。なまの花球100グラム中にビタミンC65ミリグラムを含む。ただし、ゆでたものでは42ミリグラムまで減ってしまう。12月から翌年の2月ころが旬(しゅん)になる。

[星川清親 2020年11月13日]

『農耕と園芸編集部編『ブロッコリー・カリフラワー――生理と栽培技術』(1988・誠文堂新光社)』


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改訂新版 世界大百科事典 「カリフラワー」の意味・わかりやすい解説

カリフラワー
cauliflower
Brassica oleracea L.var.botrytis L.

アブラナ科のキャベツと同一種とされる一~二年草。ハナヤサイともいい,花序とつぼみの集合体が肥大したものを食用とする野菜。東部地中海沿岸のシリア地方の野生カンランB.creticaから栽培分化したものとされている。紀元前6世紀にはすでに記録があり,15~16世紀にイタリアやフランスで改良され,18世紀にはイギリスで,さらに19世紀になってからはアメリカで改良が進んだ。また熱帯地方のインド,フィリピン,中国南部や中近東地域にも導入され,独特の品種分化がなされた。日本へは明治初年にアメリカから導入された。本格的に栽培されるようになったのは昭和30年代のころからで,食生活の洋風化とともにいちじるしく普及するようになった。キャベツとは異なり,葉形は長く,へら形で,草姿も立性を呈する。茎が生育するにつれて,生長点部に花芽が分化し,その発育によって生ずる花蕾(からい)の集合体は肥大し,白色または紫色の花球を形成する。春になると花球はさらに発育して黄色の十字花を咲かせる。品種は極早生,早生,中生,晩生などがある。極早生系の品種は熱帯地方で品種分化したため,22~23℃程度の高い温度で花芽を分化する。この特性を利用して夏まきして初秋どりができる。晩生種になるにつれて生育期間も長くなり,越冬して低温にあわないと花芽を分化しなくなる。そのため晩生種は暖地向きの品種となる。十分に肥大発達した花蕾を食用とするが,一般にボイルしてからマヨネーズやドレッシングをかけて食べたり,サラダの材料などに使われる。和風には酢みそあえにしたり,すき焼きに入れて食べると美味。キャベツの仲間には,カリフラワーに似ているが花蕾が濃緑色になるブロッコリーや花茎を利用するカイランなどがある。
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百科事典マイペディア 「カリフラワー」の意味・わかりやすい解説

カリフラワー

ハナヤサイとも。ヨーロッパ西海岸原産のアブラナ科の野菜。葉は楕円形で根ぎわから茎につき,茎頂についた乳白色の花蕾(からい)を食用にする。花蕾は無数の小花に分かれ,多肉化する。タンパク質,鉄分に富む。品種も多く,一般に冷涼な気候を好む。→ブロッコリー

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「カリフラワー」の解説

カリフラワー[葉茎菜類]
かりふらわー

四国地方、徳島県の地域ブランド。
主に徳島市・板野郡藍住町・板野郡上板町で生産されている。カリフラワーは、地中海原産でキャベツの仲間。未発達のつぼみである花蕾が食用になる。ビタミンCのほかビタミンB1・ビタミンB2・鉄分など栄養が豊富。徳島県は全国トップクラスの出荷量を誇っている。

カリフラワー[葉茎菜類]
かりふらわー

関東地方、栃木県の地域ブランド。
主に小山市・下都賀郡野木町で生産されている。明治時代初期、ブロッコリーとともに海外から日本に入ってきた野菜。1960年代に急速に普及した。ビタミンCの含有量は、淡色野菜のなかでもトップクラス。熱を加えてもビタミンCが破壊されにくい。

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カリフラワー」の意味・わかりやすい解説

カリフラワー
Brassica oleracea var. botrys; cauliflower

アブラナ科で,キャベツの1変種とされる。明治初期に渡来した。太い茎は高さ 40~80cmとなり,披針形で 30~50cmの大きな葉は質が厚く白粉を帯びる。この葉に包まれるように白色の退化した幼花序が球形につく。つぼみと肥厚した花柄を食用にする。ハナヤサイ (花野菜) の別名もある。

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栄養・生化学辞典 「カリフラワー」の解説

カリフラワー

 [Brassica oleracea(botrytis group)].花キャベツ,花ボタンともいう.フウチョウソウ目アブラナ科アブラナ属の一〜二年草で食用にする.

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世界大百科事典(旧版)内のカリフラワーの言及

【ブロッコリー】より

…アブラナ科の一・二年草(イラスト)。キャベツの1変種で,カリフラワーの原種と考えられている。和名の別名をメハナヤサイ,ミドリハナヤサイともいう。キャベツ類のとう立ちをした花軸を利用することからこの名がついた。葉は濃緑色で欠刻があり,主茎の頂部または葉腋(ようえき)から出た側枝の頂部には発達した濃緑色のつぼみの集合体を形成する。品種には早晩性があり,頂花蕾(ちようからい)専用種と側花蕾も利用できるものとがある。…

※「カリフラワー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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