日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルタヘナ(スペイン)」の意味・わかりやすい解説
カルタヘナ(スペイン)
かるたへな
Cartagena
スペイン南東部、ムルシア地方の港湾都市。人口18万4686(2001)。丘陵に囲まれた深い入り江の奥に位置する天然の良港で、古くから地中海に臨む要害の地として利用されてきた。ガリシア地方のビーゴに次ぐ軍港である。また輸出港としても重要で、周辺で産する鉄、鉛、錫(すず)、銅などの鉱石やそれらの工業製品、および農産物などを輸出する。年間約500万トンの輸出量は、アルヘシラス、ビルバオ、バルセロナに次いで第4位である。精油工場も立地する。紀元前3世紀に、スペイン地方におけるカルタゴ人のもっとも重要な植民地として建設された。ローマ時代にはカルタゴ・ノバ(新カルタゴ)とよばれ、この地方の中心都市として繁栄した。711年ムーア人に占領され、独立公国が創設された。その後何度も戦場となり、アルフォンソ13世はここからフランスに向かって亡命し、1936~39年のスペイン内戦でも、共和派の重要な海軍基地となった。
[田辺 裕・滝沢由美子]