カンボク(読み)かんぼく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンボク」の意味・わかりやすい解説

カンボク
かんぼく / 肝木
[学] Viburnum opulus L. var. sargentii (Koehne) Takeda
Viburnum opulus L. var. calvescens (Rehd.) Hara

スイカズラ科(APG分類:ガマズミ科)の落葉低木。高さ3~6メートル。葉は三つに中裂する。花序は散房形、周辺部の花は花冠が大きく、雄しべ雌しべが退化した装飾花で、中央部に両性花がある。花序全体が装飾花となった品種をテマリカンボクとよび、栽培される。花期は5~7月。果実は液果で球形、8~9月に赤く熟すが、苦くて食べられない。材は白くてじょうぶなので楊枝(ようじ)とし、道具類の柄(え)ともする。また枝葉の煎汁(せんじゅう)は切り傷擦り傷の薬として用いる。肝木の意味は不明。中部地方以北に普通にみられ、北海道と本州温帯に分布し、樺太(からふと)(サハリン)、千島朝鮮半島、中国などにも分布する。基本種のセイヨウカンボクがヨーロッパ、シベリアなどに、また別の変種アメリカカンボクが北アメリカに分布する。欧米では果実をゼリーとし、樹皮を利尿薬などとする。

[福岡誠行 2021年12月14日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

普及版 字通 「カンボク」の読み・字形・画数・意味

木】かん(くわん)ぼく

うつろ木。〔淮南子、説山訓〕木のくを見て、舟を爲(つく)ることを知り、飛の轉ずるを見て、車を爲ることを知る。

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墨】かんぼく

筆と墨。文章文学。魏・曹植〔楊徳祖に与ふる書〕豈に徒(た)だを以て勳績と爲し、辭賦をもて君子と爲さんや。

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木】かんぼく

叢木

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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンボク」の意味・わかりやすい解説

カンボク(肝木)
カンボク
Viburnum sargentii; viburnum

スイカズラ科の落葉低木。日本ではブナ帯から北の湿ったところに生え,サハリン,千島,朝鮮半島,中国,アムール地方など東アジアに広く分布する。高さ 2.5~3mで,葉は対生し,葉身は普通3裂して裂片の先は鋭くとがり,縁にはまばらに鋸歯がある。初夏,枝先に散房状の花序を出し,多数の白色の小花をつける。花序の周辺にはアジサイに似た花冠の大きい装飾花が目立つ。核果は赤く熟する。材は白色で柔らかく,つまようじなどをつくるのに使われる。

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世界大百科事典(旧版)内のカンボクの言及

【ガマズミ】より

…ミヤマシグレV.urceolatum Sieb.et Zucc.var.procumbens Nakai(イラスト)は高さ1m以下の小低木で,茎の下部は横にはう。カンボクV.opulus var.calvescens (Rehder) Hara(イラスト)は葉が3中裂し,装飾花がある。【福岡 誠行】。…

※「カンボク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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