ガラスレーザー(読み)がらすれーざー(その他表記)laser glass

デジタル大辞泉 「ガラスレーザー」の意味・読み・例文・類語

ガラス‐レーザー(glass laser)

誘導放出を起こす媒体として結晶ではなくガラスを用いる固体レーザー一種ネオジムなどの不純物をバリウムクラウンガラスやリン酸ガラスに加えたものが使われる。高出力レーザーに適するため、レーザー核融合炉研究に利用される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガラスレーザー」の意味・わかりやすい解説

ガラスレーザー
がらすれーざー
laser glass

固体レーザーの一種で、光の増幅を担当する活性中心となる活性イオンと、それを均一に溶かし込む無色の母体ガラスからできている。活性イオンとしてネオジムを含むものは近赤外線を放出する。大型のものが容易にできるので、核融合に必要な超高温、超高圧発生の引き金に高出力ガラスレーザーが有望視されている。一方、成形が容易なことから小型の医療用のものもつくられている。ガラスに対する酸化ネオジムの濃度が3~4%で効率は最大となり、また母体ガラスとしては大出力発生時に損傷を受けにくい低屈折率のものが適している。この他に、エルビウムプラセオジムイッテルビウムなどのさまざまな希土類イオンを含むグラスファイバーが開発され、光通信の分野において、また各種の加工用レーザーとして使われている。

[境野照雄・伊藤節郎]

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化学辞典 第2版 「ガラスレーザー」の解説

ガラスレーザー
ガラスレーザー
laser glass

希土類イオン Nd3+,Er3+,Eu3+,Tm3+,Ho3+ などは,紫外光などのエネルギーの高い光を吸収して,可視光を発光する性質がある(蛍光発光).ガラスレーザーは,これらの希土類イオンを透明なガラスのなかに分散して作成される.これに強い白色光を照射し,この原子のエネルギー状態を高めたうえでレーザー光線を通すと,希土類イオンからエネルギーを受けとって増幅される.[別用語参照]固体レーザー

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガラスレーザー」の意味・わかりやすい解説

ガラスレーザー
glass laser

ケイ酸ガラスを主体としたガラスに不純物として Nd3+ などを加えた固体レーザーで,波長 1.06μm の光パルスを発振する。出力 1012W にも達し,レーザーのなかで最高の出力をもつ。レーザー核融合への応用が考えられる。2枚の平行反射鏡の間にガラス棒を置き,強力なキセノンフラッシュランプの光を照射すれば,Nd3+ は励起されて反転分布を起し,強力なレーザー光が瞬間的に放出される。

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世界大百科事典(旧版)内のガラスレーザーの言及

【レーザー】より

… 媒質として固体を用いる固体レーザーの代表的なものは,Al2O3の中に不純物として含まれるクロムイオンCr3+が発振する(694.3nm)ルビーレーザーや,YAG(yittrium aluminum garnetの略。Y3Al5O12)結晶やガラスの中に含まれたネオジウムイオンNd3+が発振する(1.06μm)YAGレーザー(ヤグレーザーともいう)またはガラスレーザーなどである。 半導体レーザーは小型であること,発振させるための励起装置が簡単であること,製造原価が安価であることなどの理由で,これからの広い応用が期待されている。…

※「ガラスレーザー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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