日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ガードナー(Alexander Gardner)
がーどなー
Alexander Gardner
(1821―1882)
アメリカの写真家。南北戦争で北軍側の記録写真を撮影したことで知られる。イギリスのスコットランドに生まれる。本来は化学者であったが、湿板写真の技術で名声をはせ、アメリカの写真家マシュー・B・ブラディに招かれ1856年に渡米した。61年に南北戦争が始まると、ブラディ指揮の従軍写真班に参加するが、その後独立し、自らの名を冠した『戦争写真スケッチ集』(1866)を刊行する。この写真集のなかには、62年に撮影されたリンカーン大統領とマックレラン将軍の会見の模様をはじめ、前線で死傷している兵士の写真などが多く収められ、後世、ドキュメンタリー写真の先駆として高く評価されるようになった。戦争後は西部開拓鉄道建設の記録写真や、警察の捜査資料写真を手がけ、いずれも先駆的な業績を残した。
[平木 収]