ペーズリー(その他表記)paisley

翻訳|paisley

デジタル大辞泉 「ペーズリー」の意味・読み・例文・類語

ペーズリー(Paisley)

英国スコットランド西部の町。グラスゴー南西約12キロメートルに位置する。12世紀に創建されたペーズリー修道院とともに発展。18世紀から19世紀にかけて隆盛した、ペーズリー柄で知られる綿織物の生産で広く知られる。ペイズリー

ペーズリー(paisley)

勾玉まがたま外形に似た細密曲線の模様。スコットランドの都市ペーズリーで織られたところからいう。本来は、インド、カシミール地方のショールに用いられたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「ペーズリー」の意味・読み・例文・類語

ペーズリー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] paisley )[ 異表記 ] ペイズリー 勾玉(まがたま)のような曲線模様。また、この模様を織り込んだ毛織物。この柄の織物を産したスコットランドの都市の名からの称。
    1. [初出の実例]「首に黄と緑のペーズリーのスカーフを結び」(出典:抱擁(1973)〈瀬戸内晴美〉一)

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改訂新版 世界大百科事典 「ペーズリー」の意味・わかりやすい解説

ペーズリー
paisley

勾玉(まがたま)形に先端が屈曲した植物文様。元来はイギリスのグラスゴー南西約4kmにある小さな町の名。この町で19世紀初頭より,当時ヨーロッパで人気のあったインドのカシミア・ショールの模倣品が大量に生産されたことから,ペーズリーの名がカシミア・ショールの代名詞となり,さらにカシミア・ショールに最も多いデザインである勾玉形の植物文様をペーズリーと呼ぶようになった。この植物文様の起源は,一般に西アジアに古くからある〈生命の樹〉に由来するとみなされているが,カシミール地方においては糸杉をデザインしたものと考えられている。今日現存するものでは,17世紀以降のインドおよびイランの染織文様に最も多く,カシミア織はもちろん,刺繡,更紗などにも広く活用されている。この文様は初期のものほど,一つの花卉文様としての具象性をそなえているが,時代が下るにつれ,形式化され,勾玉形の枠の中を花文や幾何学文で埋めつくしたものになってゆく。文様相互の構成は布の横幅いっぱいに横や斜めに並べたり,四隅に配したりする。また全面を覆う唐草文様としたものもあり,ペーズリー自体の形も,極度に細長くして,先端をダイナミックに屈曲させて,互いに絡み合わせた複雑なものもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペーズリー」の意味・わかりやすい解説

ペーズリー
Paisley

イギリススコットランド中西部,レンフルーシャーの行政府所在地。グラスゴーの西約 10kmにあり,クライド川支流ホワイトカート川に臨む。12世紀創建の修道院を中心に形成された町で,18世紀には織物業を中心とする工業都市となり,リンネル製造が盛んであった。19世紀以降はリンネルに代わって綿紡績が中心となり,世界的な綿糸製造の中心地に発展。今日ではほかに機械,化学,食品,マイクロエレクトロニクス,コンピュータ・システムなどの工業やサービス業が行なわれる。19世紀初めにはインド製のカシミア織ショールの模造品として生産されたペーズリー・ショールでも有名となった。この紋織の毛織物は今日では生産されていないが,その独特の紋様ペーズリー模様として洋服地などの織物に広く利用されている。人口 7万2970(2004推計)。

ペーズリー
paisely

松笠またはマンゴーの果実,糸すぎなどの形を模した複雑で多彩なインドの古典的図柄,およびその図柄を施した織物。 19世紀初めにヨーロッパで,インドからもたらされたカシミア織ショールが流行した際,この図柄を取入れた良質の柔らかい毛織物が,スコットランド南西部の都市ペーズリーで生産され,ペーズリー・ショールとして大流行となったことから,この名が起った。小花を散らしたり,明るい染色を施すなどの現代的なアレンジがなされ,根強い人気を保つ柄となっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペーズリー」の意味・わかりやすい解説

ペーズリー(模様)
ぺーずりー
paisley

エキゾチックな勾玉(まがたま)形の模様。小紋風のものから、大柄なものまで大小さまざまあり、模様の内部に数個の小さいペーズリーを入れ、その中にさらに微細なペーズリーを二重、三重に入れ込んだ複雑な形式をとるものもある。これはインドの植物マンゴーmangoの果実の形を便化したものと考えられ、唐草のモチーフにこれを使った古典的なペーズリーのほかに、単独にこれを散らし模様風に表した近代的なペーズリーもある。東洋風なペーズリーが比較的丸形であるのに対し、ヨーロッパ風なペーズリーは細く長い形式をとる。インド北部のカシミール地方でつくられた、手織りのショールに使われたのが起源で、18世紀初頭、イギリス、スコットランドのペーズリー市に移入され、19世紀に大流行した。今日も婦人服地、スカーフ、ネクタイなどの模様として、幅広く愛用されている。

村元雄]


ペーズリー(イギリス)
ぺーずりー
Paisley

イギリス、スコットランド南西部の工業都市。グラスゴーの西11キロメートルにあり、クライド川支流ホワイト・カート川が貫流する。人口7万0900(2002推計)。グラスゴー工業地帯の都市機能を分担し、繊維、造船、機械、化学、自動車工業などが発達している。19世紀に世界的ブームを巻き起こしたショールやスカーフなどのペーズリー製品はここで大規模に生産されていたが、安価な類似品の出現やショールの衰退により現在はほとんどみられなくなった。

[米田 巌]

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百科事典マイペディア 「ペーズリー」の意味・わかりやすい解説

ペーズリー

勾玉(まがたま)形の植物文様。18―19世紀ヨーロッパで,インドからもたらされたカシミア・ショールが流行,その独特の文様に英国での模造品の生産地であったペーズリーの名がつけられた。文様は,西アジアで古くから崇拝の対象であった〈生命の樹〉を模したとか,糸杉あるいは松かさ模様などといわれる。服地やショール,室内装飾品の模様として親しまれている。
→関連項目エトロカシミア織リバティ

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世界大百科事典(旧版)内のペーズリーの言及

【カシミア織】より

…カシミア・ショールの名で世界に名高く,もともと王侯貴族の衣料,ショールとして用いられていた。文様はほとんどがインド松,あるいはペーズリーと呼ばれるアーモンド形の花文様,またペーズリーを唐草風にアレンジしたものを主としている。カシミア織には,文様を織りだした〈織(おり)カシミア〉と,ししゅうした〈繡(ぬい)カシミア〉とがある。…

※「ペーズリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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