ペーズリー(読み)ぺーずりー(英語表記)Paisley

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペーズリー」の意味・わかりやすい解説

ペーズリー
Paisley

イギリススコットランド中西部,レンフルーシャーの行政府所在地。グラスゴーの西約 10kmにあり,クライド川支流ホワイトカート川に臨む。12世紀創建の修道院を中心に形成された町で,18世紀には織物業を中心とする工業都市となり,リンネル製造が盛んであった。19世紀以降はリンネルに代わって綿紡績が中心となり,世界的な綿糸製造の中心地に発展。今日ではほかに機械化学,食品,マイクロエレクトロニクス,コンピュータ・システムなどの工業やサービス業が行なわれる。19世紀初めにはインド製のカシミア織ショール模造品として生産されたペーズリー・ショールでも有名となった。この紋織毛織物は今日では生産されていないが,その独特の紋様ペーズリー模様として洋服地などの織物に広く利用されている。人口 7万2970(2004推計)。

ペーズリー
paisely

松笠またはマンゴー果実,糸すぎなどの形を模した複雑で多彩なインドの古典的図柄,およびその図柄を施した織物。 19世紀初めにヨーロッパで,インドからもたらされたカシミア織ショールが流行した際,この図柄を取入れた良質の柔らかい毛織物が,スコットランド南西部の都市ペーズリーで生産され,ペーズリー・ショールとして大流行となったことから,この名が起った。小花を散らしたり,明るい染色を施すなどの現代的なアレンジがなされ,根強い人気を保つ柄となっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペーズリー」の意味・わかりやすい解説

ペーズリー(模様)
ぺーずりー
paisley

エキゾチックな勾玉(まがたま)形の模様。小紋風のものから、大柄なものまで大小さまざまあり、模様の内部に数個の小さいペーズリーを入れ、その中にさらに微細なペーズリーを二重、三重に入れ込んだ複雑な形式をとるものもある。これはインドの植物マンゴーmangoの果実の形を便化したものと考えられ、唐草のモチーフにこれを使った古典的なペーズリーのほかに、単独にこれを散らし模様風に表した近代的なペーズリーもある。東洋風なペーズリーが比較的丸形であるのに対し、ヨーロッパ風なペーズリーは細く長い形式をとる。インド北部のカシミール地方でつくられた、手織りのショールに使われたのが起源で、18世紀初頭、イギリス、スコットランドのペーズリー市に移入され、19世紀に大流行した。今日も婦人服地、スカーフ、ネクタイなどの模様として、幅広く愛用されている。

村元雄]


ペーズリー(イギリス)
ぺーずりー
Paisley

イギリス、スコットランド南西部の工業都市。グラスゴーの西11キロメートルにあり、クライド川支流ホワイト・カート川が貫流する。人口7万0900(2002推計)。グラスゴー工業地帯の都市機能を分担し、繊維、造船、機械、化学、自動車工業などが発達している。19世紀に世界的ブームを巻き起こしたショールやスカーフなどのペーズリー製品はここで大規模に生産されていたが、安価な類似品の出現やショールの衰退により現在はほとんどみられなくなった。

[米田 巌]

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