キナ酸(読み)キナサン(その他表記)quinic acid

翻訳|quinic acid

デジタル大辞泉 「キナ酸」の意味・読み・例文・類語

キナ‐さん【キナ酸】

キナ皮コーヒー種子クランベリーの実などに多く含まれるカルボン酸一種。19世紀にキナ皮より単離され、マラリア特効薬キニーネ原料となった。植物体において、芳香族化合物の前駆物質として機能する。

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改訂新版 世界大百科事典 「キナ酸」の意味・わかりやすい解説

キナ酸 (キナさん)
quinic acid



キナ樹皮やコーヒー豆などに含まれている脂環族有機酸。高等植物に特有の物質で,植物体内では芳香族アミノ酸生合成の前駆物質として関与している。二酸化マンガン硫酸で酸化すると,皮なめしに使われる黄色のキノンという物質に変化する。キナ酸は,土壌細菌カビにより炭素源として利用される。
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化学辞典 第2版 「キナ酸」の解説

キナ酸
キナサン
quinic acid

1,3,4,5-tetrahydroxycyclohexanecarboxylic acid.C7H12O6(192.17).キニン酸ともいう.南アメリカ産のキナ皮Cinchona ledgerianaに多量に含まれているほか,タバコの葉,リンゴモモなど多くの植物に含まれている.融点163~164 ℃.-42°(水).ヘプトース誘導体の閉環によって生合成される.[CAS 77-95-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キナ酸」の意味・わかりやすい解説

キナ酸
キナさん
quinic acid

C6H11O4COOH で表わされるカルボン酸。融点 162℃の結晶。キナ皮から発見されたが,コーヒーの種子,サトウダイコンの葉などにも存在する。また,クロロゲン酸成分として広く植物に分布する。1,3,4,5-テトラヒドロキシシクロヘキサン-1-カルボン酸に相当する化合物で,ヘプトース誘導体の閉環によって生成する。またシキミ酸を経て芳香族化合物にいたる生合成過程で重要な役割を担っていると考えられている。

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栄養・生化学辞典 「キナ酸」の解説

キナ酸

 C7H12O6 (mw192.17).

 タバコやニンジンの葉に含まれる物質.

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