キログラム(読み)きろぐらむ(その他表記)kilogramme フランス語

精選版 日本国語大辞典 「キログラム」の意味・読み・例文・類語

キロ‐グラム

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語] kilogramme [英語] kilogram, kilogramme ) メートル法の重さの単位。一グラムの千倍。記号 kg
    1. [初出の実例]「仏の『ガラム』は、『サンチメートル』立方〈略〉の蒸溜水量にて、其一千を『キロガラム』《一リットルの水とす、即『バルム』立方》、又一磅とも呼ぶ」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉例言)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キログラム」の意味・わかりやすい解説

キログラム
きろぐらむ
kilogramme フランス語

メートル法および国際単位系SI)の質量基本単位国際キログラム原器の質量と定義されている。記号はkg。国際キログラム原器は、高さおよび直径がそれぞれ39ミリメートルの円柱形の分銅で、材質は白金90%、イリジウム10%の合金である。メートル法創設当時の計画では、1立方デシメートルの最大密度の水の質量とする予定であったが、1880年、最初につくられた原器はやや重くできてしまった。しかし水の密度の測定精度にも問題があるので、国際的なキログラムは、この最初の原器に基礎を置くということになり、1885年新しい原器がいくつかつくられ、そのうち最初の原器と一致したものが国際キログラム原器とされた。そのほかのものはこの国際原器と比較され、各国の原器として配布されている。

 キログラムは基本単位でありながら、1000を意味する接頭語がついている。これは、最初はグラムを基本単位とする計画であったからで、原器がその1000倍につくられたため、キログラムを単位としてしまった。そこで国際単位系では、キログラムにはさらに接頭語をつけず、グラムにだけつけると定めている。

[小泉袈裟勝・今井秀孝]

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改訂新版 世界大百科事典 「キログラム」の意味・わかりやすい解説

キログラム
kilogramme

メートル法の質量の単位。1000gを意味し,記号はkg。その大きさの定義には次のような変遷があった。1795年にフランスでメートル法が初めて制定された際,質量の基本単位はグラムであり,そのグラムの定義から換算して,キログラムは〈最大密度にある蒸留水1立方デシメートルの質量〉であった。この定義に基づいて白金製の円柱型分銅が99年に作られたが,これは上記定義のキログラムの大きさを最も精密に表す分銅であり,その保管場所の国立史料館Archives nationalesの名を付けてキログラム・デ・ザルシーブという。

 メートル法の国際化のため,国際メートル委員会が1870年と72年に開かれたが,そこで新しい国際原器をキログラム・デ・ザルシーブが実際に示す真空中の質量から導くことが決議された。キログラム原器は80年に完成し,その質量はキログラム・デ・ザルシーブの質量と体積測定の誤差の範囲内で一致した。1875年制定のメートル条約に基づいて89年に開かれた第1回国際度量衡総会はこのキログラム原器を承認し,〈今後,この原器が質量の単位と見なされる〉と決定した。この原器を国際キログラム原器と呼ぶ。したがって,キログラムは国際キログラム原器の質量に等しい。この定義の採用により,キログラムは水の質量とは無関係になった(4℃の水1dm3の質量は実験で求めるべきものとなり,現在までに得られた最も精密な値は0.999972kgである)。

 なお,国際単位系ではキログラムは名称に接頭語がついた形で基本単位になっており,その倍量単位分量単位の名称はグラム(g)に接頭語をつけて形成することになっている。例えば10⁻6kgは1マイクロキログラムではなく,1ミリグラム(mg)である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キログラム」の意味・わかりやすい解説

キログラム
kilogram

(1)質量SI基本単位。記号は kg。プランク定数 h を 6.62607015×10-34J・Sと定めることで設定される。元来キログラムは標準気圧のもとで最大密度をもつ約 4℃の純粋の水 1dm3の質量と定められ,1799年に最初のキログラム原器が作製された。のちに精密測定の結果,この原器の質量は前記の純水 1dm3の質量より約 27mg大きいことが明らかとなっていたが,1879年この原器の質量によって国際キログラム原器が定められ,1889年,それをもとに 1kgが定義された。2019年,定義が国際キログラム原器からプランク定数に基づくものに変更された。(→グラム)(2) 重力単位系における力の単位。正しくは重量キログラムまたはキログラム重。記号は kgwまたは kgfであるが工業分野では慣用的に kgと略記することがある。

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百科事典マイペディア 「キログラム」の意味・わかりやすい解説

キログラム

質量の基本単位。記号kg。国際単位系(SI)の基本単位の一つ。国際キログラム原器の質量。メートル条約によりキログラム原器の質量に等しいと定義されている。初めは4℃の純水1dm3の質量と決めたが,これは現行の1kgよりわずかに小さい。
→関連項目グラムメートル法

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知恵蔵 「キログラム」の解説

キログラム

SIの基本単位の1つで、「国際キログラム原器の質量に等しい質量の単位」と定義されている(1901年、国際度量衡総会)。国際キログラム原器は、白金90 %、イリジウム10 %の合金でできた直径39 mm、高さ39 mmの円柱体で、パリ郊外にある国際度量衡局の地下室に保存されている。もともとこの原器は、1 dmデシミリ立方の最大密度の純水の質量と等しくなるように作られたものであるが、再現性、安定性の点から原器そのものを単位の基準とすることが決められた。メートル法創設時には、質量の単位を「グラム」とする計画だった。このため、現在の単位には初めから「キロ」という接頭語がつくという変則形となったが、SIでは質量に限ってこの特例を認めている。

(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)

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単位名がわかる辞典 「キログラム」の解説

キログラム【kilogramme〈フランス〉】

質量の国際単位。記号は「kg」。国際キログラム原器の質量を1kgとする。1kgは1000g。国際キログラム原器は白金90%、イリジウム10%の合金でできた直径・高さとも39mmの円柱体。1799年に4℃の純水1dm3の容積がもつ質量と定義され、確定キログラム原器がつくられたが、1889年の第1回国際度量衡総会で現在の原器に改められた。

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化学辞典 第2版 「キログラム」の解説

キログラム
キログラム
kilogram

質量の単位.記号 kg.国際キログラム原器のもつ質量に等しい.国際単位系(SI単位)の基本単位の一つ.

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世界大百科事典(旧版)内のキログラムの言及

【単位】より

…1杯のコーヒーの〈杯〉,12人の弟子の〈人〉も同類である。では,長さ3mの鉄棒の〈メートル〉,質量2kgの金塊の〈キログラム〉も同類であろうか。 これまでにあげた表現用語のうち,メートルとキログラムは,比率や件数,個数を表すことばとはやや違った機能をもっており,他の多数の類語(平方メートル,アンペア,パスカル,アンペア毎平方メートル,キロメートル,エレなど)とともに単位と呼ばれる。…

※「キログラム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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