一般には計測や計量器の検定の基準となる標準器をいうが、狭義にはメートル原器およびキログラム原器をさす。
原器という用語は1875年(明治8)に制定された度量衡取締条例に現れる。このとき政府は地域ごとに数を限って度量衡器の製作請負人を指定し、それに尺度原器、斗量原器および権衡原器を貸し付けた。しかし1891年制定の度量衡法では、メートル原器とキログラム原器だけが原器となり、検定用のものは検定用具となるが、一般にはこれらも原器と通称されてきた。1960年に国際単位系(SI)が採用され、長さの単位であるメートルの定義が「メートル原器」から「光の波長を基準とする方法」に変更されたことに伴い、メートル原器が定義から外された(メートルの定義は1983年「光が真空中を299792458分の1秒間に進行する長さ」に変更)。日本でも1961年(昭和36)度量衡法を改正しメートル原器を廃止、原器の名称はキログラム原器のみに用いられている。原器に次ぐものは標準器で、検定・検査用のものは基準器とされている。なお、日本のメートル原器は2012年(平成24)に国の重要文化財に指定された。
1798年フランス政府は、地球子午線の測量と水の密度測定の結果に基づいて、白金製長方形断面のメートル原器と、同じ白金製の径と高さが等しい円筒形のキログラム原器をつくった。これが共和国文書保管所Archives de Répubriqueに保管されたことから、それぞれMéter des ArchivesおよびKilogramme des Archivesとよばれた。1870年フランス政府の呼びかけでパリに集まった24か国の代表は、新しいメートル法の基礎をこの原器に置くことと決議し、これに基づいて新しい原器をつくることとした。そこで調査準備委員会が設けられて、新しい原器の形状や材料が定められた。これが1872年の国際会議で承認され、原器の製作は国際委員会のフランス部会があたることになった。しかし、フランスで製作された原器は材料に不純物が多すぎると国際委員会に指摘され、改めてイギリスのジョンソン・マッセイ社のものを採用し、完成したのは1885年である。ついで同一多数の原器がつくられ、1889年の国際度量衡総会で国際原器として各国へ配布する原器が定められた。
[小泉袈裟勝・今井秀孝 2015年4月17日]
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