赤道を中心に南北ほぼ緯度5~10度の間に分布する気候帯。年平均気温は20℃以上で、年較差は6℃以下と小さく、日較差は5~15℃と大きい。1年を通じて多雨で、年降水量は2000ミリメートルを超える。赤道付近は低圧(無風)帯となっており一般に風が弱いが、海岸地方では海陸風が発生する。強い日差しと高湿のため種々の常緑広葉樹が繁殖している。セルバselvas(アマゾン川流域低地の熱帯広葉樹林)や東南アジアに顕著にみられる。20世紀後半ごろから、アマゾン川流域の熱帯雨林の乱伐などが地球のCO2収支のバランスをゆがめ、地球温暖化を促進することが危惧(きぐ)されている。土壌はあまり肥沃(ひよく)でないラテライト(紅土)が分布し、保水力も弱い。大半が開発途上国であり、いまだにタロイモやキャッサバなどの原始的焼畑農業、あるいは狩猟や漁業を営んでいる。白人によるゴム、ココヤシ、カカオなどのプランテーション(企業的栽植農園)も点在している。
[福岡義隆]
熱帯気候の一つで,W.P.ケッペンの気候区分ではAfと表される。年平均気温が20℃以上もあり,熱帯で最も高温であり,気温の日較差(5~15℃)に比べると年較差が小さく6℃以下である。連日のように午後になるとスコール(強いしゅう雨性降雨)が降るので,年中多雨で年降水量は2000mmを超える。一般に赤道無風帯ともいわれるように風は弱いが,海岸地帯では海陸風循環がみられる。湿度が高く日射も豊富なので,種々さまざまの常緑広葉樹が繁茂し,アマゾン川流域のような大密林(セルバ)を形成する。土壌はラテライトが主で,あまり肥沃でなく保水力も弱い。したがって,いまだに原始的焼畑農業(タロイモ,キャッサバなどを作る)や,狩猟・漁労を中心とする生活を営んでいる。白人によるプランテーション(ゴム,ココヤシ,アブラヤシ,カカオなど)も点在している。シンガポールなどの大都市は例外で,一般に人口密度は低い。
執筆者:福岡 義隆
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