ベスプッチ(英語表記)Amerigo Vespucci

翻訳|Amerigo Vespucci

デジタル大辞泉 「ベスプッチ」の意味・読み・例文・類語

ベスプッチ(Amerigo Vespucci)

[1454~1512]イタリア航海者商人。1499年からポルトガル王の援助による2回の航海で、南米大陸マゼラン海峡まで南下し、新大陸であることを確信。彼のラテン名アメリクスにちなみ、アメリカと命名された。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ベスプッチ」の意味・読み・例文・類語

ベスプッチ

  1. ( Amerigo Vespucci アメリゴ━ ) イタリアの航海者、天文学者。一四九九~一五〇四年、ポルトガル王の援助によって二度航海を行ない、南アメリカ大陸をマゼラン海峡まで南下し、大陸であることを確信。アメリカの名称は彼のラテン名アメリクスにちなむ。(一四五一‐一五一二

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ベスプッチ」の意味・わかりやすい解説

ベスプッチ
Amerigo Vespucci
生没年:1454-1512

イタリアの航海者。フィレンツェ生れ。1499年アロンソ・デ・オヘダの遠征に参加してインディアスへ向かい,現ベネズエラの海岸沿いを探検航海。のち1501-02年と03-04年,ポルトガル国王マヌエルの要請で東インドへの航路の発見などを目的としてブラジル沿岸へ航海。ベスプッチはこのとき目撃した土地がアジアではないと確信し,数通の書簡の中で〈新世界Mundus Novus〉という言葉を用いて新大陸であることを記した。これらの書簡は1503年に公刊されると,たちまちにして多数の読者を獲得し,各国語に翻訳された。読者の一人,ドイツの地理学者マルティン・ワルトゼーミュラーはベスプッチの新大陸説を支持し,新大陸を航海者の名にちなんでアメリカと命名した。08年,スペイン国王より首席水先案内官に任命され,彼の指導下,セビリャの通商院付属の航海学校,水路学研究所は著しい発展を遂げた。彼の記録にはあいまいな点が多く,ラス・カサス以来しばしば論議を引き起こしてきた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベスプッチ」の意味・わかりやすい解説

ベスプッチ
Vespucci, Amerigo

[生]1454. フィレンツェ
[没]1512. セビリア
イタリアの商人,探検家,航海者。公証人の子として生れ,メディチ家の銀行員として働く。 1491年メディチ家と取引のあるセビリアにおもむき,船舶の出航準備を業としていた G.ベラルディという人物のもとで働く間に,C.コロンブスの出航準備に立会い知合いとなった。 99年スペイン探検隊に加わって現在のギアナからブラジルにかけての南アメリカ沿岸を探検,1500年帰国。次いで 01~02年ポルトガル探検隊を率いてグアナバラ湾 (リオデジャネイロ湾) からリオデラプラタにまで達し,南アメリカがアジア大陸とは別の新大陸であることを確信。 07年ドイツの地理学者マルティン・ワルトゼーミュラーは『世界誌序論』のなかで,アメリゴ・ベスプッチの業績をたたえるために,その名をとって新大陸をアメリカと名づけることを提唱した。最初は南アメリカ大陸のみの名称であったが,のちに南北アメリカ大陸の名称となった。 05年スペインに招かれて西インド諸島商社に席を与えられ,さらに 08年最高航海士の称号を贈られた。晩年にスペイン市民権を得て,自身の探検に基づく航海図の作成を準備したが,12年死亡。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベスプッチ」の意味・わかりやすい解説

ベスプッチ
べすぷっち
Amerigo Vespucci
(1454―1512)

イタリア人航海者。アメリカという地名は、彼の名アメリゴにちなむものとされる。フィレンツェに生まれる。1491年、メディチ銀行セビーリャ支店に派遣された。この地で大航海への刺激を受けたと思われる。かつて、1497~1504年の間に4回の航海をしたと信じられていたが、1499~1500年、1501~02年の2回が事実のようである。1回目の航海でヨーロッパ人として初めてブラジルに達しているが、重要なのはポルトガル王の援助で行った二度目の航海である。南米大陸をほとんどマゼラン海峡近くまで南下した彼は、これがアジアではなく、新しい大陸との確信を得、その後、小冊子『新大陸』(1504)と『A・ベスプッチの書簡』(1505ころ)を刊行し、新大陸説を唱えた。地誌学者のワルトゼーミュラーはこれに注目して、1507年に作製した地図で、この大陸を分離して記すとともに、新大陸を「アメリカ」と名づけることを提唱した。

[在里寛司]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ベスプッチ」の意味・わかりやすい解説

ベスプッチ

イタリアの航海者。1499年から1504年までに4度新大陸に航海し,1499年には南米ベネズエラ付近に達した。新大陸アメリカの名称はドイツの地理学者ワルトゼーミュラーの提唱によりベスプッチのラテン名Americusに基づく。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のベスプッチの言及

【アメリカ】より

…南・北アメリカ大陸と西インド諸島の総称。アメリカという名称は,中部および南アメリカを探検したイタリアの航海・探検家アメリゴ・ベスプッチの名にちなむといわれ,1507年に発行されたワルトゼーミュラーMartin Waldseemüllerの《世界誌入門》に用いられたのが最初である。当初はコロンブスの発見した地域(西インド諸島と南アメリカ大陸)を指すことばであったが,のちに西半球の大陸全体を意味するようになった。…

【新世界】より

…15世紀から16世紀にかけてヨーロッパ人(とくにスペイン人)が発見した現在の南北アメリカ,カリブ海諸島の呼称。この言葉は1502年から04年ころにパリで発行されたとされるアメリゴ・ベスプッチの書簡体の小冊子《新世界Mundus novus》で初めて用いられた。1499年から1504年にいたるまで,イタリア人ベスプッチはスペイン国王,のちにはポルトガル国王に仕えて,現在の中央アメリカからブラジル,アルゼンチンに達する海岸線を調査し,コロンブスらが発見した土地がヨーロッパとアジアの中間に位置する新大陸,すなわち新世界であることを認めた。…

※「ベスプッチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android