ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベスプッチ」の意味・わかりやすい解説
ベスプッチ
Vespucci, Amerigo
[没]1512. セビリア
イタリアの商人,探検家,航海者。公証人の子として生れ,メディチ家の銀行員として働く。 1491年メディチ家と取引のあるセビリアにおもむき,船舶の出航準備を業としていた G.ベラルディという人物のもとで働く間に,C.コロンブスの出航準備に立会い知合いとなった。 99年スペイン探検隊に加わって現在のギアナからブラジルにかけての南アメリカ沿岸を探検,1500年帰国。次いで 01~02年ポルトガル探検隊を率いてグアナバラ湾 (リオデジャネイロ湾) からリオデラプラタにまで達し,南アメリカがアジア大陸とは別の新大陸であることを確信。 07年ドイツの地理学者マルティン・ワルトゼーミュラーは『世界誌序論』のなかで,アメリゴ・ベスプッチの業績をたたえるために,その名をとって新大陸をアメリカと名づけることを提唱した。最初は南アメリカ大陸のみの名称であったが,のちに南北アメリカ大陸の名称となった。 05年スペインに招かれて西インド諸島商社に席を与えられ,さらに 08年最高航海士の称号を贈られた。晩年にスペイン市民権を得て,自身の探検に基づく航海図の作成を準備したが,12年死亡。
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