手足など
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かぜなどの上気道感染や下痢などの感染症状が先行したあと、1~2週間が経過してから、急に両側の上下肢の脱力感と筋力低下をきたし、四肢末端にしびれなど感覚障害を伴う多発神経炎。略称GBS。フランス人医師Georges Guillain(1876―1961)とJean Alexandre Barré(1880―1967)の報告(1916)により命名された。顔面筋や外眼筋および体幹の筋肉の筋力低下、さらに言語障害や、著しい血圧の変動あるいは徐脈など不整脈がみられることもある。重篤な場合は嚥下(えんげ)困難や呼吸筋麻痺(まひ)による呼吸困難などを伴い、歩行困難から寝たきりとなることもある。症状が著しいときは、血圧の管理や人工呼吸器の装着が必要となる。原因は、末梢(まっしょう)神経を構成する成分に対する自己抗体ができ、自分の神経を誤って攻撃してしまう免疫応答の異常と考えられている。発生頻度は人口10万人当り年間1~2人である。
治療は、血漿(けっしょう)交換療法や免疫グロブリン大量投与療法が有効である。予後は良好であることが多く、症状のピークから徐々に回復し6~12か月以内に完全回復する例が多い。しかし後遺症として軽い運動麻痺や感覚障害が残ることがあり、自力歩行が困難となることもある。
[編集部]
1916年,ギランG.Guillain,バレーJ.A.Barréらによって初めて報告されたアレルギー性急性多発性根神経炎。多くの場合,急性ウイルス性感染によると思われる風邪症状や,下痢などの胃腸症状があってから1~2週間後に,下肢から始まる筋力の低下と,足の裏の異常感覚などを生じ,数日から数週のうちに四肢・体幹の弛緩性運動麻痺を呈するに至る。また両側性の顔面神経麻痺や,口蓋,咽頭,喉頭などの麻痺,さらには呼吸筋の麻痺をも生ずることがある。運動麻痺が高度である反面,感覚障害はごく軽いのが普通で,脊髄液検査ではタンパク質上昇がみられるが,細胞増加はない。本態は末梢神経髄鞘に対する自己免疫反応であり,先行するウイルス感染は免疫反応の引金の役割を果たすと考えられている。症状のきわめて強いものでも普通は自然に治癒するが,病初期の呼吸麻痺や,嚥下障害のための誤嚥による窒息で死に至ることもある。治療としては副腎皮質ホルモン剤が有効である。
執筆者:岩田 誠
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[脊髄癆性失調症tabetic ataxia]
関節位置覚,運動覚などの深部感覚の障害によって生ずるものであり,深部感覚の障害されるような病態で共通に認められる。その原因としては脊髄癆が最も古典的なものであるが,ほかにフリードライヒ病Friedreich ataxiaのような脊髄小脳変性症,糖尿病やギラン=バレー症候群のような多発性神経炎または多発性根神経炎,ビタミンB12欠乏症にみられる亜急性連合索変性症,脊髄腫瘍などでも,同様の現象がみられる。下肢に失調症のみられることが多く,起立や歩行時の平衡障害が著しい。…
…このような痙性四肢麻痺はまた大脳の広範な病変によっても生ずるが,そのような場合には,単に運動麻痺のみでなく,知能や意識の障害,視覚・聴覚の障害,痙攣(けいれん)発作などを伴うのが普通である。多発性筋炎や進行性筋ジストロフィー症のような全身を侵す筋肉疾患,ギラン=バレー症候群のような多発性根神経炎,運動ニューロン疾患などでは,弛緩性の四肢麻痺を呈することが多い。これらの疾患,とくに後2者においては,顔面筋やその他の脳神経系の運動麻痺をきたすことも少なくない。…
…同様のことは,変形性脊椎症や,脊椎骨などの骨奇形,椎間板ヘルニアなどで神経根が圧迫された場合にも起こる。また多発性神経炎や,ギラン=バレー症候群においては,広い範囲にわたって神経原性筋萎縮が認められる。最も高度の神経原性筋萎縮は,脊髄運動ニューロンの病変によって生ずるが,その代表的なものはポリオと運動ニューロン疾患である。…
…臨床像は,急性感染症やワクチン接種後1~2週後に生ずる脳炎または脊髄炎症状が主体であり,自然寛解に至るのがふつうである。これに対し,同様の自己免疫機転が末梢性髄鞘の塩基性タンパク質に対して生じたと考えられているものにギラン=バレー症候群がある。ギラン=バレー症候群においても,急性感染症に感染した後数日ないし数週間後に弛緩性四肢麻痺を生じてくるが,やはり自然寛解に至る。…
…治療および予後も原因により異なるが,副腎皮質ステロイド剤などの薬物療法と急性期の安静,回復期のリハビリテーションが基本となる。ギラン=バレー症候群は,若年男子に多い運動障害を主体とした多発性神経炎の一つであり,上気道感染などの前駆症状を伴うことが多い。数ヵ月以内に症状は回復し,予後はよい。…
※「ギランバレー症候群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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