ギロチン(英語表記)guillotine

翻訳|guillotine

デジタル大辞泉 「ギロチン」の意味・読み・例文・類語

ギロチン(〈フランス〉guillotine)

斜状の刃をもつおのを落下させ、受刑者の首を切断する死刑執行具。フランス革命で盛んに用いられ、恐怖政治の象徴となった。提唱者の医師ギヨタン(J.I.Guillotin)の名にちなむ。断頭台ギヨチン

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ギロチン」の意味・読み・例文・類語

ギロチン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] guillotine ) 断頭台。斧(おの)状の刃物を落下させ、下に横たわる受刑者の首を切断する装置。フランス革命のとき医師出身の議員ギヨッタンの提案によったところからいう。フランスでは敏速、無痛で人道的なものと考えられ、一九八一年まで使われた。ギヨチン。〔外来語辞典(1914)〕
    1. [初出の実例]「ジロンド領袖がギロチンにかけられたとき」(出典:黒船前後(1935)〈服部之総〉ジョゼフ・フーシェ)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ギロチン」の意味・わかりやすい解説

ギロチン
guillotine

1789年,パリ大学の解剖学教授で,フランスの憲法制定国民議会議員となったギヨタンJoseph Ignace Guillotin(1738-1814)により改良考案された斬首装置。ギヨチンともいい,断頭台と訳す。この種の機械は以前からヨーロッパ各地にあったが,92年3月20日,立法議会により死刑執行の装置として正式に採用され,同年4月25日,グレーブ広場(現在のパリ市庁舎前の広場)で強盗殺人犯の処刑の際に初めて使用された。その後ギロチンはフランスでは1981年の死刑廃止まで使用されるが,とくに革命中は頻繁に用いられた。たとえば,革命が激化した1793年3月から94年7月までの1年5ヵ月間だけでも,パリでは約2500人がギロチンで処刑された。最近ではアルジェリア民族解放戦線の活動家の処刑にも使用された。なおルイ16世と王妃マリー・アントアネットを処刑したサンソンSanson親子は,19世紀までパリ市で代々死刑執行人を務めた家系として知られている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギロチン」の意味・わかりやすい解説

ギロチン
ぎろちん
Guillotine フランス語

フランス革命以来、死刑に使用された断頭台。正しくはギヨチーヌと発音され、古くから南フランスやイタリアで用いられていたのを、憲法制定議会議員となった医者のギヨタンJoseph Ignace Guillotin(1738―1814)が、刑死者の苦痛を軽減するために、その採用を提案したことから、この名でよばれることとなった。彼が発明者であったとするのは誤りである。重く、かつ鋭利な刃が一瞬のうちに落下して死をもたらすので、事実、苦痛が軽いことに加えて、処刑に要する時間も短く、この後者の理由が、恐怖政治の激化とともにその「能率性」を買われて、人数をこなすのに活用されて恐れられ、恐怖政治のシンボルとなった。1981年に廃止。

[樋口謹一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギロチン」の意味・わかりやすい解説

ギロチン
guillotine

金属製の大刃をもつ斬首方式による死刑執行の用具をいう。当初,ルイゼットとかルイゾンと呼ばれていたが,創案者とされたフランスの医師 J.ギヨタンの名前にちなんで現名のように呼ばれるようになった。フランス革命遂行期に王侯貴族など反市民的階層の人々に対して用いられ,その濫用から人民裁判のもつ恐怖の象徴として使用される用語となった。しかし,本来は,フランス革命を象徴する人道主義・平等主義的背景のもとで合理化されていた。 1792年以来ギロチンによる処刑が行われていたが,1981年9月フランス国民議会は死刑廃止法案を可決し,190年余に及ぶギロチンによる処刑は廃止された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

とっさの日本語便利帳 「ギロチン」の解説

ギロチン

ジョゼフ・イニャス・ギヨタン(Joseph Ignace Guillotin。一七三八~一八一四)▼フランス革命時代に国民議会議員であった内科医。当時、断頭台で処刑されるのは高貴な身分の者だけで、一般の犯罪人は切れ味の鈍い刀剣によって処刑されていたため、人道的理由から断頭台による処刑法を提案。この提案は一七九一年に採用され、断頭台は彼にちなんで「ギロチン」と命名された。しかし、ギロチンを発明したのは同僚アントワーヌ・ルイ医師(一七二三~九二)。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

百科事典マイペディア 「ギロチン」の意味・わかりやすい解説

ギロチン

断頭台。創案者Guillotinの名をとって呼ばれる。斬首のための刑具で,フランス革命のときしきりに用いられたので有名。二つの柱とそれをささえる厚い板からできており,この板の上に横たわった死刑囚の上から,綱で結びつけられた三角形の刃物が落とされて,首に当たる。
→関連項目刑具

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ギロチン」の解説

ギロチン
guillotine

ギヨティーヌともいう。フランス革命時代に用いられた断頭台。国民議会議員で医師,解剖学教授であったギョタンの提案により,拷問と斬首の刑を廃止するという人道的目的のために採用された。のちに恐怖政治の象徴となる。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「ギロチン」の解説

ギロチン
guillotine

フランス革命時代に用いられた死刑台。フランス語ではギョティーヌと発音され,「断頭台」とも訳される
医師ギョタンの考案といわれるが,異説もある。ジャコバン派はこれでルイ16世やマリ=アントワネットを処刑し,ギロチンは恐怖政治のシンボルとなった。1981年の死刑廃止まで使用された。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

デジタル大辞泉プラス 「ギロチン」の解説

ギロチン

ベルギー、ヒューグ醸造所で製造されるビール。ラベルにギロチン台が描かれる。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android