クシナガラ(その他表記)Kuśinagara

改訂新版 世界大百科事典 「クシナガラ」の意味・わかりやすい解説

クシナガラ
Kuśinagara

中央インドの古国でマッラ族居住地。音訳は拘尸那掲羅。上茅城,草城とも意訳する。祭式用のクシャ草ダルバ草)の都城ナガラ)を意味する。仏陀はこの国の北方サラソウジュ娑羅双樹)の間に,頭を北に向け右脇を下につけて入滅したという。釈尊の四大聖地(生誕地,得道地,初転法輪地,入滅地)の一つとして名高い。この地を訪れた中国僧法顕や玄奘記述あるいは発掘された出土品等から,現在では北インド,ウッタル・プラデーシュ州北東部のカシアがクシナガラの古跡とされている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クシナガラ」の意味・わかりやすい解説

クシナガラ
くしながら
Kuśinagara

古代インドの十六大国の一つで、マッラ人の首都。釈尊(仏陀(ぶっだ))がこの地の沙羅双樹(さらそうじゅ)の間に臥(ふ)して入滅したので、仏教四大聖地の一として尊ばれている。仏典によれば、人々は釈尊の遺体荼毘(だび)に付し、ここに塔を建てて祀(まつ)ったと伝える。法顕(ほっけん)(335?―421?)や玄奘(げんじょう)(602―664)が訪れたころにはすでにさびれていたが、精舎(しょうじゃ)(僧院)や塔があり、仏陀の涅槃(ねはん)像が安置されていた。現在のウッタル・プラデシュ州のカシアKasiaという町に古い仏塔があり、ここから涅槃塔(ただし最初のものではない)であることを証する銅板が発見され、これが仏陀入滅の古址(こし)であると考えられている。

[森 章司]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「クシナガラ」の解説

クシナガラ
Kuśinagara

十六大国の一つマッラ国の都で,ブッダが死んだ地。現在の北インド,ウッタル・プラデーシュ州のカシア。その死を記念して建てられた大般若涅槃寺(だいはんにゃねはんじ)の遺跡が発掘され,今日ブッダの涅槃を表す大きな仏像が祀られている。

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旺文社世界史事典 三訂版 「クシナガラ」の解説

クシナガラ
Kusinagara

中インドのマッラ(Malla,末羅)族の首都があったところで,釈迦 (しやか) が入滅(死)した地として有名
釈迦4大聖地の1つ。5世紀の銘のある涅槃 (ねはん) 像などが発見された,ウッタルプラデシ州東部のカシア(Kasia)付近といわれる。

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世界大百科事典(旧版)内のクシナガラの言及

【ゴーラクプル】より

…1970年代初頭には,日本政府援助の化学肥料工場も完成し,ガンジス川中流域北部平野の商工業中心都市として発展している。南郊に釈迦入滅の地クシナガラがある。【中山 修一】。…

※「クシナガラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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