クズ(葛)(読み)クズ

百科事典マイペディア 「クズ(葛)」の意味・わかりやすい解説

クズ(葛)【クズ】

北海道〜九州,東アジアの山野に自生するマメ科のつる性多年草。肥大する根があり,茎の基部は木質化する。葉は3出葉で,小葉は菱状卵形,長さ幅とも10〜15cm,下面は白っぽい。夏〜秋,葉腋に花穂を出し,紅紫色の蝶(ちょう)形花を多数密につける。豆果は扁平な狭楕円形で,粗毛があり,長さ約10cm。土留めに植えたり,飼料とする。根はデンプン葛粉(くずこ))を含み,周皮を取り除いたものを葛根(かっこん)と称し,葛根湯の主原料となる。また茎の繊維で襖(ふすま)等に用いる葛布を織った。世界各地で砂防用などとして栽培され,北米では野生している。
→関連項目デンプン(澱粉)料作物

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クズ(葛)」の意味・わかりやすい解説

クズ(葛)
クズ
Pueraria lobata; kudzuvine

マメ科のつる性多年草。アジアの暖・温帯に分布する。山野に普通で,大群落をつくる。全草に粗毛を生じ,葉は3枚の小葉から成る複葉。花は紫紅色で7~9月頃に多数が総状花序をなして咲く。根は長く肥大し,上質のデンプンをたくわえている。くず粉は本来これを取出したものであるが,今日ではジャガイモデンプンで代用されている。葉はウシウマの飼料とされ,茎の皮は布を織るのに利用された。日本では秋の七草の1つとして昔から親しまれてきたが,現在では北アメリカにも帰化植物として分布し,手ごわい雑草となっている。

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