クラナハ(読み)くらなは(その他表記)Lucas Cranach der Ältere

デジタル大辞泉 「クラナハ」の意味・読み・例文・類語

クラナハ(Lucas Cranach)

クラナッハ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「クラナハ」の意味・読み・例文・類語

クラナハ

  1. ( Lucas Cranach ルカス━ )[ 異表記 ] クラナッハ・クラーナハ ドイツルネサンスの代表的画家多く肖像画宗教画を描き、裸体画にも独特の境地を示す。版画家としても有名。友人ルターの宗教改革運動を熱烈に支持した。代表作は「エジプト逃避途上の休息」「エバ」など。(一四七二‐一五五三

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラナハ」の意味・わかりやすい解説

クラナハ
くらなは
Lucas Cranach der Ältere
(1472―1553)

ドイツの画家。オーバーフランケンのクローナハの画家の家系に生まれ、ワイマールで没した。ドナウ派の影響を受け、同時代ではアルトドルファーおよびグリューネワルトからの刺激が大きいとされる。1503~1504年ウィーンに住み、1505年以後ザクセン選帝侯フリードリヒ宮廷画家となり、ウィッテンベルクに大きな工房を構えた。1508年フランドルを旅行し、マサイス(マセイス)の影響を受けた。1537~1544年ウィッテンベルクの市長を務めたが、晩年フリードリヒ侯に従ってワイマールに移った。また、ルターの友人として宗教改革の理念に奉仕し、改革の文書や聖書挿絵木版で制作、ルターをはじめ改革運動の推進者の肖像を描いた。宗教画では『キリスト磔刑(たっけい)』(ミュンヘンアルテ・ピナコテーク)、肖像画では『ザクセン侯ヨハン』(ドレスデン絵画館)が代表作で、ゴシックの神秘感に満ちた画風は、北欧絵画の伝統を強く残している。この画風で異教的なテーマにも筆を染め、『風景の中のビーナス』(パリ、ルーブル美術館)のような特異な女性裸像も描いている。晩年の『青春の泉』(ベルリン国立美術館)は空想的な寓意(ぐうい)画で、彼の作域の広さを物語っている。同名の息子も画家であるため、彼の姓には「大」または「父」の称をつけてよばれる。

[野村太郎]

『海津忠雄編『世界の素描8 クラナッハ』(1978・講談社)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クラナハ」の意味・わかりやすい解説

クラナハ
Cranach, Lucas

[生]1472.10.4. フランケン,クロナハ
[没]1553.10.16. ワイマール
ドイツ・ルネサンスの代表的画家。父から画技を修得。 1500~04年頃ウィーンを中心に活動,『キリスト磔刑』 (1500頃,ウィーン美術史美術館) など当時の作品はドナウ派の代表作でもある。 05~50年ザクセン選帝侯の宮廷画家としてウィッテンベルクに工房を構えるかたわら市の参事会員や市長としても活躍。また M.ルターと親交があり,宗教改革者たちの肖像画やプロテスタンティズムの版画の制作を手がけた。 08年のネーデルラント旅行以後はルネサンス様式を融合した作風の肖像画,祭壇画などを制作。明確な輪郭線に浮き立つ特異な裸体表現を特色とする。息子のハンスとルーカスも画家。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「クラナハ」の解説

クラナハ
Lukas Cranach

1472~1553

ドイツの画家。主としてヴィッテンベルクで活動,ザクセン選帝侯の宮廷画家となり,ルターその他宗教改革運動家の肖像を多く描いた。祭壇画や神話を主題とした絵画の制作も多い。木版画も注目される。代表作は「パリスの審判」。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android