日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルトドルファー」の意味・わかりやすい解説
アルトドルファー
あるとどるふぁー
Albrecht Altdorfer
(1480ころ―1538)
ドイツの画家。父は15世紀末レーゲンスブルクで活躍した細密画家ウルリヒUlrich Altdorferと推定される。1505年画家としてレーゲンスブルクの市民権を得、1519年市参事会員、1526年市の建築家に任ぜられた。1535年には外交使節としてウィーンの宮廷に赴いた。1526年以前にイタリアへ旅したという説もある。彼は16世紀のドイツ美術を代表する偉大な画家の一人で、制作は宗教、風景、歴史画にわたり、版画や建物を描いたデッサンも多い。『ドナウ風景』(1532ころ)のような純粋風景画もある。ドイツの森や山岳と宗教的な主題との融和を図り、ロマン主義的なドナウ派の中心的存在となった。イッソスの戦いを描いた『アレクサンドロス大王の戦い』(ミュンヘン、アルテ・ピナコテーク蔵)は宇宙的な視野で、自然と人間の劇的な交感を描いた代表作である。
[野村太郎]