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クラ クラ kula

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

クラ
クラ
kula

ニューギニア東端とその北東および東方の諸島との間にある島々を,カヌーによって環状に結んで行われるメラネシア人の交易の形態。儀礼的な贈答に,各島々の必需品が交換される本来の交易が結びついている。

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デジタル大辞泉の解説

クラ(〈メラネシア〉kula)

ニューギニア東端から、東北部の島々を結んで行われる儀礼的交換。時計回りの赤い貝の首飾りと、逆回りの白い貝の腕輪の交換が、広地域の交流の輪を形成する。

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百科事典マイペディアの解説

クラ

ニューギニア島南東部のマッシム諸島に見られる儀礼的交換システム。言語も文化も異なる複数の部族島嶼社会の間を円環状につないで,赤いウミギクの首飾を時計回りに,白いシャコ貝の腕輪を反時計回りに贈物として渡していく。
→関連項目貝貨メラネシア[人]

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世界大百科事典 第2版の解説

クラ【kula】

ニューギニア島南東岸に隣接する諸島群で見られる儀礼的贈物交換の体系。クラ交易ともいう。人類学者マリノフスキーが最初に記述し,本来文字を持たない社会の交換や交易の例として知られる。クラはトロブリアンド,アムフレット各諸島,ダントルカストー諸島のドブ語使用地域,トゥベトゥベやミシマ島,ウッドラーク諸島などの,広範囲にわたる慣習や言語の異なる部族社会を閉じた環とし,その圏内を時計回りに赤色の貝の首飾(ソウラバ),逆方向に白い貝の腕輪(ムワリ)の,2種類の装身具が贈物として,リレーバトン,あるいは優勝旗のように回り続けることを特徴とする。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

クラ
くら
kula

メラネシア人の行う儀礼的交換。クラ交易は、ニューギニア島東端とその北東および東にある島々を円環状に結んで行われるが、この円環の周囲は数百キロメートルにも及ぶ。クラはこの地方の人々の、生活の中心ともいうべき重要な行事であり、人々は、クラをするために、カヌーで何日もかけて危険な海上を旅することもいとわなかった。
 クラとは、具体的には、バイグァとよばれる2種類の品物の儀礼的交換をさす。バイグァには、ソウラバという赤い貝の首飾りと、ムワリという白い貝の腕輪があり、両者が互いに交換される。この二つのバイグァは、クラが行われているすべての地方で、人が手にすることができる宝物のうちでも最高のものだと考えられており、有名なバイグァには固有の名前や、その歴史にまつわる数多くの伝承が伴う。バイグァには、クラで他のバイグァと交換されること以外にはいっさいの実用的な価値はなく、また他のいかなる品物とも交換することはできない。さらに、人は特定のバイグァを長期間自分の手元にとどめておくことは許されず、通常1~2年以内に、次の交換相手へと手渡さねばならない。こうして2種類のバイグァはクラの円環を、互いに反対方向に、とどまることなく回り続けるのである。ソウラバは時計回りに、ムワリは反時計回りに、2年から10年かかって島々を一周する。ムワリは女性の性質をもち、ソウラバは男性の性質をもっているとされ、ちょうど男性と女性がひきつけあうように、互いに反対方向に回ってゆくと、人々は説明する。両者がクラにおいて巡り会い交換されるとき、ソウラバとムワリが結婚したといわれる。
 クラ交易に参加することは大きな名誉であり、そこで有名なバイグァを手に入れることは、たとえ次にはそれを手離さねばならぬにしても、男に高い威信を与える。だれでもがクラに参加できるわけではなく、クラと男の社会的成功とは密接に結び付いている。クラに参加する各人には、何人かの特定のクラ相手がおり、この関係は生涯持続する。
 クラ遠征は、バイグァを手に入れる目的で、交換相手のいる両隣の島に1回ずつ行われる。通常のクラとは別に、大船団によるウバラクとよばれる大規模なクラ遠征が、数年に一度行われる。クラ遠征には、出発に先だって、カヌーの建造をはじめとする、長期にわたっての大掛りな準備が必要である。クラを成功裏に終わらせるための種々の呪術(じゅじゅつ)は、個々人の秘伝として注意深く守られている。共同体の仲間を出し抜いて、よりよいバイグァを手に入れることは、人々の大きな関心事である。
 実際の交換は、数多くの伝統的な約束事に従って儀礼的に執り行われる。交換は一方的な贈り物の形をとり、公衆の面前でぎょうぎょうしく行われる。この際、贈り手は、むぞうさに怒ったような態度でバイグァを投げ出し、受け手も冷淡で侮蔑(ぶべつ)的な態度を装う。2種のバイグァは同時には交換されず、1回の遠征でバイグァを受け取るのは訪問者側だけである。これによって、逆に訪問を受けたときに、等価のバイグァを贈る義務が生じるのである。
 クラ交易そのものは、いかなる意味においても経済的交易ではないが、クラの場を借りて、相当な量の物資の取引もみられる。クラの場はまた、異なる地域の人々が情報やゴシップを交換し、潜在的には敵対関係にたつ人々の間に同盟と友好が再確認される機会でもある。一見し、交換のための交換ともみえるクラの制度は、それに参加する広大な地域の人々を結び付け、諸地域間に連帯と協力の関係を維持するための制度であるともいえる。[濱本 満]
『マリノフスキー著、寺田和夫・増田義郎訳「西太平洋の遠洋航海者」(『世界の名著59』所収・1967・中央公論社)』

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世界大百科事典内のクラの言及

【家】より

…他方,ドイツ語のハウスは家メンバーという古義を失い,単なる建物としての家へと語義内容を狭められていったのであった。家父長制祖先崇拝アジール【若尾 祐司】
【インド】
 古代インドでは〈いえ〉を表すことばにはグリハgṛha,クラkula,クトゥンバkuṭumbaの3語があり,同義語として相互に置き換えられる場合が多いが,それぞれ家屋,家族,家産に重点をおいた用例が見られる。(1)グリハは家屋を意味する。…

【贈物】より

…つまり,原初的な社会における贈答システムは,まずもって食物や製品,さらに最も貴重な財のカテゴリーである女を含んだ全体的交換であると主張する。
[ポトラッチとクラ]
 このいわば連帯促進システムに対して,贈与のもつ他の側面として,送り手と受け手の間に競争や対立をまねく要素のあることも重要である。ポトラッチと呼ばれる北米インディアンの贈与交換に関する事例によれば,自己の威信を高めるために名誉や面子をかけて,財貨の惜しみない競争的贈与や浪費が行われる。…

【交易】より

…とくに未開種族間における交易は経済的取引とは異なり,儀礼的性格が顕著に表出される傾向がみられることはM.モースによって指摘されたとおりである。 交易と儀礼的贈与交換の体系がからみ合った事例として有名なのは,ニューギニア東端の島々で行われる,クラ交易である。かなり遠距離にまで及ぶ島々がクラ交易の体系の中に組み込まれており,カヌー作り,航海,交易はそれぞれ呪術的儀礼によって覆われている。…

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